薬剤師の臨床的センスをプロデュースする情報誌!
医療の急速な変化に薬剤師が対応できるよう、医療チームの一員として求められる臨床知識、また薬のエキスパートとして求められる医薬品の専門知識を各専門分野でご活躍の薬剤師・医師等により、わかりやすく、そして実践で活用できる情報を提供しています。
特集: 吸入療法(気管支喘息・COPD)
■特集にあたって(灰田 美知子)
■吸入療法の鍵となる「アドヒアランス」「パートナーシップ」(灰田 美知子)
■治療における吸入薬の位置づけから病態を知る
・吸入ステロイド薬(足立 満)
・β2刺激薬(大田 健)
・抗コリン薬(一ノ瀬
正和)
■吸入方法で知りたいこと
・専門医はどのような点を考慮して
デバイスを選択するのでしょうか?(田中
一正)
・MDI(metered-dose
inhaler:定量噴霧式吸入器)製剤には
なぜ使用前に振らなければならない薬と振る必要のない薬があるのですか.
また,振らないで使用した場合,効果に影響がでることはありますか?
(坂野
昌志)
・DPI(dry powder
inhaler:ドライパウダー吸入器)製剤の
ロタディスクにおいてタッピング法を用いることは薬剤放出量の増加に
どのくらい有効なのでしょうか.(山田
安彦)
・吸入する一連の過程において吸入前の息の吐き出しと吸入速度,
吸入後の息止めを行う重要性について教えてください.
また、MDI製剤においてどのような患者さんにスペーサーを用いるのでしょうか.(坂野
昌志)
・甘いものを好む人は口腔内カンジダになりやすいと聞いたことがあります.
吸入ステロイドを使っている間は甘いものを避けた方がよいのでしょうか?
(佐藤
田鶴子)
・吸入ステロイド薬の局所副作用である嗄声や口腔内カンジダを予防するには
どのような工夫ができるのでしょうか.また,うがい以外にも有効な
予防方法がありましたら教えてください.(黒木
宏隆)
・吸入薬を使用する際、患者さんは手技をどのように間違うことが
多いのでしょうか.また,その間違いを改善するための指導ポイントを
教えてください.(松原
和夫)
■吸入療法の知識を深める
・吸入した薬剤は気管支あるいは肺のどの部分に沈着したあと吸収され,
効果を現すのですか.また,適正な薬剤粒子径など肺内に到達するための
要因はあるのでしょうか?(藤村
政樹)
・MDI製剤は噴射剤が代替フロンに変わったことでエタノールを
含有するようになりましたが,アルコール喘息が起こる
心配はないのでしょうか?(浅井
貞宏)
・作用の異なる吸入薬を複数併用することがありますが,
その相乗効果について教えてください.また,同時使用の際には
どのような順で吸入したらよいのでしょうか?(加藤
元一)
・合剤へ切り替える際の初期投与量はどのようにして決めるのですか.
また,切り替えた際の臨床効果に違いはあるのでしょうか?(鈴木
直仁)
・気管支喘息発作におけるリリーバー(短時間作用型β2刺激薬)の
吸入タイミングについて教えてください.(佐野
靖之)
・気管支喘息かCOPDか診断し難い病態の患者さんにおける
第1選択薬を教えてください.(秋山
一男)
・妊娠しているもしくはその可能性のある気管支喘息患者さんへの
第1選択薬を教えてください.(井上
洋西)
・呼吸器感染症を罹患した際,吸入ステロイド薬の使用を続けても
よいでしょうか?(長坂 行雄)
■患者さんをサポートする医師・薬剤師の重要ツール
・PEFの種類と使い方(諏訪部 章)
・喘息日記の書き方・読み方・使い方(諏訪部
章)
・吸入療法で使えるツール(黒木 宏隆)
News
■海外ニュース
*連載シリーズは誌面の都合により,今月号では休載させていただきます.
■付録
第 93 回薬剤師国家試験 医療薬学 ― 問題と解答 ―
【巻頭言】
ステロイドは喘息治療においてもっとも効果的な抗炎症薬である.従来の点滴や経口薬として用いられてきた製剤を長期的な管理薬としての安全性を考慮して吸入という剤形を考案したことは喘息治療に画期的な変革をもたらした.
吸入ステロイド薬(inhaled
corticosteroid;ICS)の臨床効果はすでに周知の通り,早期の治療介入に用いることにより,慢性化や重症化を予防し,ひいては喘息死の減少に寄与すると報告されている.問題はわが国での
ICS
の普及率は低く,喘息死が諸外国に比べて多いことと関連があるのではないかと危惧されている.有用性が確立されている現在でも「効果が緩徐であること」,「症状がないときでも定期的に使用すること」など,長期管理薬としてのアドヒアランスを得るのが難しい薬剤である.それに加えて,本来,アドヒアランスの向上のために行うべき患者指導が医療者側の時間的な制約のために不十分になってしまうことも普及に不利であることが指摘されている.今までの統計でも吸入指導を医師が片手間に行っている施設が
44.6%,また,行っていたとしても 5 分以下の施設が
74%に及ぶとされている.また薬剤師は本来,吸入器を手渡す際に,その使用方法などを教授するためにもっとも相応しい立場にありながら実際に吸入操作を行ったことがあるという薬剤師は
60%以下といわれている.
本特集ではさまざまな指導的な立場の医師・薬学の専門家から ICS をはじめ喘息と COPD
で用いる吸入製剤を紹介することで,より多くの薬剤師の方々にもっと吸入療法を身近なものと位置づけていただき,患者の指導に活かしていただきたいと考える.このような特集により今後の吸入製剤のさらなる普及と定着,つまり患者側のアドヒアランスの向上に役立てていただければと考える.
半蔵門病院 副院長,アレルギー呼吸器内科 医長 灰田美知子
(最新の目次ではない事もございます。ご了承願います)