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日本での子宮頸がんワクチンはどうなる?安全性についての再検討

日本における子宮頸がんワクチンの接種に対し、厚生労働省が「積極的な推奨は控える」としてから、半年が経過した。そんな中、現在でも子宮頸がんワクチン接種後の健康被害が相次いでおり、北海道内では17人に健康被害が出ているといわれ、中には歩行困難となっている生徒もいる。また神奈川県では25人が健康被害を訴え、うち10人は横浜市内の中高生だ。これを受けて、厚生労働省では2013年12月25日に有識者会議を開き、接種の推奨を再開するかどうかの方針を示すことを予定している。
 一方で、日本産婦人科医会や日本婦人科腫瘍学会では、日本のワクチンの安全性には懸念がなく、安全性を確認した上で、ワクチン接種を再開するよう、国に求めているという。

 では世界での動きはどうだろう。
 カナダのケベック州では、この秋からヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの推奨接種回数が3回から2回に変更され、9~10歳時において6カ月間隔で2回の接種を必要とし、主に学校で接種されることになっている。世界保健機構(WHO)や国際産科婦人科連合(FIGO)でも、現在使用されている2種のワクチンが安全であるとし、HPVワクチン接種の継続をサポートするとしている。
 また、2013年11月にはアメリカ国立癌研究所(NCI)による研究では、世界中で咽頭癌患者が増加していることを挙げ、この要因にはHPV感染があると示唆している。

 現在、HPVワクチンとして使用できるのは、2種類。4価ワクチンであるGardasilはHPV6型、11型、16型、18型を、2価ワクチンであるCervarixはHPV16型、18型を標的としている。しかしこれらのワクチンも万能ではなく、全体で約30%の子宮頸がんこれらのワクチンでは予防できない。またGardasilでは失神と血栓塞栓症を起こす割合が他のワクチンよりも高頻度であることが分かっているが、例えばNCIでは「ワクチン接種後15分間ほど座ったままにしていればほとんど防ぐことができる」としている。
 これまで半年間、接種の有無については保護者にその判断が委ねられてきた。厚生労働省はどのような結論を出すのか。その検討結果には注目したい。
(Medister 2013年12月25日 葛西みゆき)
こんなにあぶない子宮頸がんワクチン 少女たちの体を守るために  (合同ブックレット)
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