住友ベークライト、画期的な三次元細胞培養容器を発売

カテゴリ:医療NEWS, 癌治療 タグ: , ,  投稿日:2016年11月02日

住友ベークライト株式会社は、幹細胞等の凝集塊の形成から成熟培養までの一連のプロセスを同一容器内で実施できる新規三次元細胞培養容器PrimeSurface®96スリットウェルプレートを、2016年10月1日より国内で販売している。

従来、細胞の凝集塊を形成する方法として一般的にハンギングドロップ法が用いられてきた。しかし、均一なサイズの凝集塊を多数個形成させるには作業の習熟を必要とする点が課題であった。また、細胞を培養するためには、細胞の栄養である培地を適切な頻度で新鮮なものに交換する必要がある。例えば、PrimeSurface®96Uプレートは各ウェルが独立した構造になっているため、96個のウェルすべてについて個別に培地交換作業を行う必要があり、作業が非常に煩雑になることが課題であった。さらに、SFEBq法などのように幹細胞の凝集塊を長期に培養して成熟させる方法では、各ウェル内の培地量が不足するため一つの大きなシャーレに凝集塊を移して培養するプロセスが取られる。しかしこのプロセスは、凝集塊を移し替える際に細胞にストレスが加わること、操作中に誤って凝集塊を吸引・廃棄しかねないこと、そして一つの大きなシャーレ内で凝集塊どうしが接触・融合してしまうことなどが課題であった。

住友ベークライト株式会社はこれらの課題を解決するために、表面処理技術と構造設計技術を駆使して、幹細胞などの凝集塊の形成から成熟培養までのプロセスを同一容器内で実施できる新規三次元細胞培養容器PrimeSurface®96スリットウェルプレートを開発した。本製品は96個のウェルそれぞれの上部に培地が出入りできる細い開口部(スリット構造)を設けた三次元培養プレートである。このスリット構造は、凝集塊が通過しにくい幅に最適化されており、プレートのコーナー部分から培地を吸引または添加するだけで、各ウェル内に凝集塊が入ったままの状態でプレート全体の培地を一度に交換することが可能となっている。また、本製品は従来製品よりも多くの培地をプレート内に保持できる設計のため、凝集塊をシャーレ等に移し替えることなく長期間にわたる成熟培養が可能である。

今回開発された三次元細胞培養器PrimeSurface®シリーズの製品は、現在までに幹細胞を使った再生医療の研究や、がん細胞を使った抗がん剤の薬効評価などで広く用いられているという。
(Medister 2016年11月1日 中立元樹)

<参考資料>
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 住友ベークライト、画期的な三次元細胞培養容器を発売―幹細胞等の凝集塊形成から成熟培養まで実施可能―



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