PM2.5が肺癌発症のリスクに WHOが因果関係を認める

カテゴリ:医療NEWS, 癌治療 タグ: ,  投稿日:2013年10月22日

2013年10月17日、世界保健機構(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、大気汚染の原因となる粒子状物質(PM2.5)と肺癌発症リスクとの因果関係を認めたと発表した。IARCは過去数十年以上にわたり、1,000を超える学術論文や欧米各国ならびにアジアにおける疫学調査の結果などを分析し、PM2.5と肺癌発症との間に因果関係があると結論付けたのだ。IARCのモノグラフ・プログラム(専門科学者からなるワーキンググループ)は、これまでもディーゼルエンジン排気ガスによる癌の誘発を指摘したことはあったが、特定の物質を含む大気汚染が、人に対する発癌性を認める“グループ1”に分類され、肺癌の原因と成り得るとしたのは、今回が初めてであるという。会見の中では「2010年には世界の肺癌による22万人を超える死者はこれらの大気汚染に関連している」とし、またPM2.5は膀胱癌増加の要因となっているとも伝えている。さらに「大気汚染が呼吸器疾患および心疾患などに影響を与えることはすでに明確であり、近年、世界のいくつかの地域で多くの人口を持つ工業国において著しく増加している」と明言し、「これらの国では今後数年間、PM2.5などによる大気汚染にさらされるリスクが非常に高い」と警告している。

近年、中国の急激な経済発展等に伴い、北京を中心としたPM2.5などによる大規模な大気汚染が問題となっている。中国ではこれまでも大気汚染が問題となったことはあるが、平成25年1月の大規模な大気汚染では、健康被害の他、高速道路の閉鎖・航空便欠航など、多方面で大きな支障を来した。さらにこれが日本にまで飛来し、九州地方や西日本で一時的にPM2.5 の濃度が上昇したことは記憶に新しい。
日本で安全とされる環境基準は、PM2.5の日平均が35μm/g3以下。これが70を超える、あるいは1時間値で85μm/g3以上の場合は、屋外での作業を控えるよう都道府県が住民に対して注意喚起する、というのが日本における指針だ。
日本では冬季から春季にかけて変動が大きいといわれるPM2.5。日本でも環境省のサイトで、都道府県ごとの速報値が確認できる。今後は自己防衛策も必要となるであろう。
(Medister 2013年10月21日 葛西みゆき)
ここまでわかったPM2.5本当の恐怖―謎の物質を科学する
ここまでわかったPM2.5本当の恐怖―謎の物質を科学する

黒色腫に対する経口治療薬、新たにDabrafenibがEUでも承認

カテゴリ:医療NEWS, 海外トピックス, 癌治療 タグ: , ,  投稿日:2013年09月17日

GSKは2013年9月2日、Tafinlar(Dabrafenib)が、EUでも承認されたと発表した。この製剤はBRAF-V600 変異型の切除不能あるいは転移性の黒色腫治療に用いられるもので、2013年5月にすでに米国で承認されている。投与可能な患者の条件として「BRAF-V600突然変異が確認された場合」に限られており、この変異を持たない癌の場合、癌細胞の成長を促進してしまう可能性があるため投与の対象とはならない。

黒色腫とは、メラノサイト(メラニン色素を産生する皮膚細胞)または母斑細胞(ほくろの細胞)が何らかの原因により悪性化した腫瘍と考えられている。単に黒色腫またはメラノーマと呼ばれることもある。皮膚がんの中でも黒色腫は死亡率がおよそ75%であり、重大な皮膚がんの1つである。そのうちおよそ半数程度にBRAF遺伝子突然変異があるとされる。
BRAFたんぱくは、“RAS-RAF経路(正常細胞の増殖と生存に関与する)”の重要な構成要素であるが、突然変異によりBRAF遺伝子が活性化された状態が続くと、この経路のシグナル伝達が過剰となり、いずれ(がん細胞を含む)細胞の増殖が制御不能となることが知られている。今回承認されたDabrafenibは、変異が確認されたBRAFたんぱくを選択的に阻害する、経口キナーゼ阻害剤である。

 Dabrafenibに関する第3相試験(BREAK-3)では、Dabrafenibが既存薬であるdacarbazine(悪性黒色腫、ホジキン病などの治療薬としてすでに日本でも使用されている)と比較して、疾患の進行または死亡リスクを70%軽減できたという結果になった。また、dacarbazineの無増悪期間(中央値2.7ヶ月)に対し、Dabrafenibは5.1ヶ月であった。さらに2012年6月からの解析では、Dabrafenibは、既存薬dacarbazineと比較して、疾患の進行または死亡リスクを63%低減でき、さらに無増悪期間の比較ではdacarbazineの2.7ヶ月に対し6.9か月であったといわれている。

 同等の効果を持つBRAF阻害剤として、2011年にロシュのZelboraf(vemurafenib)がすでに承認を受けており(2011年、日本では中外製薬が導入締結済)、こちらもBRAF-V600E変異型の切除不能または転移性の黒色腫に用いられる。米国での販売価格はZelborafよりも安価に価格設定されているそうだ。
(Medister 2013年9月17日 葛西みゆき)

日本人の悪性黒色腫
日本人の悪性黒色腫



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