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【シンガポール】介護施設の拡充方針

シンガポール政府は保健省、コミュニティ開発省、文部科学省が主導となり高齢者用のヘルスケア施設を2016年までに大幅に増やすことを先月発表した。近年の高齢者の増加に伴い、老後の生活を政府が積極的に支援する必要性が生じてきたのだ。

高齢者の増加は政府が最も注視している諸問題の一つだ。今後20年間で65歳以上のシンガポール人は900,000人まで増え、5人に1人が高齢者となると予測されており、ヘルスケア需要は益々高まることとなると専門家は述べる。福祉施設を早急に立ち上げることが求められるが、高齢者が社会から隔絶されてしまうことを懸念する声もある。このため政府は単純に高齢者住宅を建てるだけではなく、高齢者が他の人(家族など)となるべく接点を持てるよう創意工夫を試みることを伝えた。詳細は今後発表される予定だが、各エリアに誰でもアクセスが容易になる複合施設を設け、高齢者が安心して暮らせる環境を整える方針だ。

設立予定の施設は高齢者の様々なニーズに応えるために複数の機能を持つこととなる。まず一つ目にSenior Activity Centre (SAC)というレクリエーションを楽しめるスポーツセンターを用意すると政府は発表した。高齢者同士が交流を深めることが狙いだが、特に親族がいない高齢者などにとってメリットが大きいと考えられている。また施設の最も重要なサービスとなるSenior Care Centre (SCC)は簡単な検診からリハビリテーション、痴呆症の患者のケアなどを行うこととなる。また自宅でケアをしている家族が日中仕事などで家を離れる場合、施設に一時的に預けることも可能となる。将来的にはSCCからナースなどを自宅に直接派遣するサービスも設ける予定だ。SACとSCCの二つに加えナーシングホームも設け、長期的なケアが必要となった場合に生活できる介護住宅も提供される。シンガポールの主要地域に新たに10戸設立予定だが、これらはすでに存在する病院や診療所の傍に建て、高齢者のケアの効率化を図る計画だ。(Medister Taro 2012年10月29日)

<参考情報>
保健省 プレスリリース

高収益と社会貢献を実現する 新しい事業モデル サービス付き高齢者向け住宅経営
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