【シンガポール】健康世界一の国に躍進
2012年8月に大手総合情報サービス会社のブルームバーグはシンガポールが世界一健康な国であると大々的に発表し、世界の注目を集めた。この結果にはシンガポールの政府関係者も驚きを隠せなかったようだ。これまでのランキングでは長寿大国として知られる日本や北欧諸国、スイス等がトップの座を争っていたため、シンガポールが食い込んだことは同国にとって初快挙である。89.45%というスコアは寿命、乳児死亡率などの指数を基準に計算され、合計値から健康リスクの数値(喫煙量、アルコール摂取量、HIV感染率等)を引くことによって算出された。この結果には当然ながら国の医療制度、医療技術が大きく貢献しているが、それ以外にもシンガポールが健康な国であるという裏付けが多数ある。
一つ目にシンガポールは非常に空気がきれいであり、PSI(大気汚染基準指数)も「良」のレベルと国家環境局に評価されている点が挙げられる。空気がきれいということは肺に負担が掛からず、病気にもかかりにくい。経済成長に伴い工場や乗用車からの排気量が増加することは多々あることだが、政府は環境問題に敏感であり、毎年様々な対策を立てている。
また水質が良いこともプラス要因である。水の確保は国の主要課題の一つであるため、これまで政府は貯水池・浄水場を各エリアに設け、インフラの整備を行ってきた。その努力が功を奏し、今ではどこの蛇口からも水を安心して飲むことができる。
世界が目を見張る経済成長を遂げ、高度な技術を誇る医療ハブとして発展したシンガポールだが、ブルームバーグの発表により最も暮らしやすい国という地位も確立したとも言える。これらを考慮するとシンガポールに住居を移す外国人が増えたのも頷ける。だがシンガポールが世界一健康な国であると一概に言うには早急かもしれない。例えば今回ブルームバーグが行った調査には精神病患者の数などは含まれていない。また実際HIV等に感染した人が申告せずに社会的諸事情等から症状を隠していると指摘する声もある。シンガポール政府には現状に満足せず、国民の健康促進のためにさらなる発展・改善に努めることを期待したい。(Medister Taro 2012年11月1日)