【シンガポール】日本でなかなか定着しない医療機器・医薬品の通販もシンガポールでは上手くいく!?MedF1 の試み
2010年に3人の起業家により開設されたシンガポールのヘルスケアWebサービスが注目を集めている。MedF1は医療機器や薬剤を医師が比較検討し、購入するためのツールとして開発された。同サイトの主な特徴として、医師は会員登録後検索欄に希望する医療機器、医薬品を入力することにより複数のサプライヤーの製品をチェックできる。医師にとって一番の利点は製品の特徴と価格を一目で比較できることだ。これまでは医師が各医療機器会社、製薬会社の担当者から話を伺う必要があったが、MedF1のサービスを利用することによりその手間を省くことができる。各社から得た情報を自分で整理し、連絡先を資料から探しコンタクトを取るなどといった煩雑な作業から解放されるのでメリットが非常に大きい。
医師にとって利用料金は一切かからず、運営者は医師が製品を購入した時点でサプライヤー側からコミッションを取得し、収益を上げることができる。また供給業者が製品のリストアップを依頼した際、その報酬として手数料を受け取る仕組みとなっている。製品のラインアップを増やすため、MedF1は大手製薬会社のグローバルファーマやアセントファーマヘルス等と提携を組み、開設後早急に供給網を拡大した。Tech in Asiaのウィー氏の取材によると、創業者の一人であるテオ氏は当初タブレットやスマートフォンから日用品を購入できるサービスを造り上げたかったと言う。だが他の起業家と議論を重ねた結果、物流という観点から医療業界を変えるという思いに至った。オンラインサービスを用いバイヤーとサプライヤーのパイプ役となることは医療マーケットの中でも比較的新しい動きであり、今後競合他社が増えていくことが予想される。名前は公表していないが、MedF1は「チーフメディカルオフィサー」を複数名雇いマウントエリザベス病院などシンガポールの総合病院との連携を強め、利用者を増やすことを当面の目標としている。またマレーシア、インドネシアなど近隣諸国への拡大も目指している。
サプライヤーの多くはすでに独自のウェブポータルを持っているので、MedF1には商品のラインアップを拡充し、より魅力的なサービスを提供して行くことが求められる。また英国のUBM社のMIMSと言った情報サイトに劣らない情報量を持つことが重要だ。単に製品の情報を載せるだけではなく、学術論文などを掲載することによって付加価値を高め、「ナレッジハブ」を造り上げることをMedF1は長期的な方針としている。【Medister Taro 2012年10月18日】
<参考情報>
MedF1.com
企業トップが語る「医療・ヘルスケア」ビジネス最前線―変貌する巨大市場に挑む (東京大学大学院医学系・薬学系協力公開講座)