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【シンガポール】胃腸膵管系神経内分泌腫瘍

胃腸膵管系神経内分泌腫瘍(GEP NET)という珍しい癌がアジア圏で徐々に増加しているという。
ASIAONE紙によると、症例の一つとしてシンガポールでは2010年、とある女性が下痢、便秘、骨の痛みを訴えたが医者は原因を突き止めることができなかった。翌年ようやく彼女の症状が判明した頃にはすでに癌が転移していたとのことだ。GEP NETの研究が進められた結果、発症件数の半分がアジア人の膵臓からであり、他の患者の場合は同じ臓器からは全体の3割程度からしか見つからなかった。アジア人の場合は内分泌系、神経系の観察により一層注意を払う必要があるという。
シンガポール国立がん研究センター(NCCS)の腫瘍学者は膵臓から発見される場合の方が他の部位に比べ、死に繋がる可能性が高いと述べている。適切な治療が施されない場合は発症してから27ヶ月ほどしか生存できず、膵臓ではなく腸に腫瘍があれば70~80ヶ月であるという。
GEP NETのデータベースには2009年から現在(1/21)までに252のアジア人が登録されており、他の地域からは356人が登録されている。NCCSはより多くのデータが得られるまでは、患者に対し化学療法を含めた積極的な治療を行うべきであると発表している。シンガポールでは毎年10万人のうち、5~7人が同種の癌により影響を受けているという。先述の症例のように早期発見が大変困難であるため、研究所はこの病気に対する社会的認知度を高め、啓蒙活動に取り組む必要があると呼び掛けている。
腹痛、下痢、体重の減少などが症状としては挙げられるが、他の病気と間違えられやすい。日本人も例外ではないため、同種の癌に対して理解を深める必要がありそうだ。(Medister Taro 2013年3月29日)

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