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【シンガポール】違法薬物の取締り

シンガポール保健化学庁(HSA)は今年の9月25日から10月2日にかけてオンライン上で販売されていたおよそ1万3000個の違法薬物(タブレット、カプセル等)を押収した。販売価格は合計で18,000シンガポールドルに上る。世界的にオンライン上での偽造医薬品による被害が多発していることを受け、HSAは先月から一斉摘発に乗り出したのだ。避妊薬、減量剤の他に未登録のコンタクトレンズ、コンドーム等も摘発対象となり、現在10人程が違法販売の疑いで取り調べを受けている。

今回の捜査はHSA単独で行われた訳ではなく、合計100カ国、193の政府系機関が国際刑事警察機構(ICPO)、世界税関機構(WCO)等の国際機関の指導の下実施した。シンガポールだけで押収点数が1万以上であることを考えると、他国でも相当の偽造医薬品がインターネットで出回っていることがわかる。HSAは通常のヘルスケア関連のウェブサイトの監視に加え、ブログや掲示板なども細かくチェックし、未登録の医薬品を至る所で発見した。合計で38のサイトを確認したところ、15のサイトが薬事法に違反していることが捜査でわかった。

一例として22歳の女性が今回の捜査で逮捕されたが、彼女は個人で3000以上の偽造医薬品をオンラインで販売し、5,685ドルほどの儲けを得ていた。裁判の結果、彼女は19,000ドルの罰金を支払うこととなり、薬事関連ではシンガポール史上最も厳しいペナルティを課せられることとなった。また違法薬物の押収額としても最も高額となり世間を驚かせた。

未登録商品は薬事法に違反するだけではなく、正規の製造・販売プロセスから外れているため、薬に不純物などが混ざっているケースが多々ある。そのため購入者の健康にも悪影響を及ぼす可能性が非常に高い。今後もHSA はインターポール等との連携を深め、偽造医薬品の根絶に努める方針だ。また国民に対しても低価格な医薬品を安易に購入せず、なるべく医師と事前に相談するよう呼びかけている。国民にはウェブサイトを閲覧する際、信頼度の高いサイトを見極める能力が求められる。尚、これまでに発見された未登録商品はHSAのホームページに全てリストアップされている。(Medister Taro 2012年10月25日)

<参考情報>
シンガポール保健化学庁 プレスリリース
未登録商品リスト

毒物・劇物・薬物取締法コンプリートガイド
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