【シンガポール】12年連続増収の漢方製薬企業 余仁生(ユーヤンサン)
6月に決算を迎えたシンガポールの漢方製薬会社ユーヤンサンの年間売上高は前年比9%増の2億8990万ドル(2012年10月9日現在:約184億円)となり、2000年の上場以来12年連続の売上げ記録を叩き出した。これには海外事業の展開が強く影響している。同社にとって中核市場を成す香港、マレーシア、シンガポールに加え今年2月から販売を開始したオーストラリアが収益の増加に貢献したと見られている。世界各地に拠点を持つ同社の最大の収入源は香港であり、漢方治療の需要に加え観光客の増加が売上に繋がった。
オーストラリアの売上を除くと同社の年間売上高は5%増に留まると試算されている。一方営業利益に関しては前年比22%減であり、これにはオーストラリア進出の際の初期費用、給与の増額などが影響した。小売業の売上は横ばいだったが、卸売販売は前年比23%増(オーストラリア市場を除く)と大幅に昨年の結果を上回った。また診療所の経営も好調であり、こちらは前年比8%増となった。最大の要因としてはシンガポールでの漢方治療に対する需要の増加が挙げられる。
海外事業を積極的に展開することにより新たな販路の開拓に努めていることが窺えるが、中国の経済成長の減速、また上記にも述べた事業費の上昇が今後の懸念事項でもある。今年度の決算報告書では生産の効率化、運営費などの諸費用を削減することを今後の目標として掲げている。
自社ブランドの商品を900以上持ち様々な症状に対応できる漢方薬を揃えているが、同社は商品の安全面にも最大限の注意を払っている。独自に漢方薬の安全管理基盤を策定し、開発から販売に至るまで商品の安全性を各段階で確認しているため、患者は安心して服用できる。このように透明性が非常に高いことも人気の理由の一つかもしれない。
<参考情報>
余仁生(ユーヤンサン)