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【シンガポール】DocDoc.com

医療業界全体の問題として患者が希望の時間に予約を取れず、診察のためだけに何週間、何ヶ月と待たされるケースが多々ある。現代ではオンライン上でレストランの予約などを済ませることができるが、これと同様に医者とのアポイントメントをインターネットを通して取れる画期的なシステムがシンガポールのベンチャー企業、DocDocによって作られた。創業者は皆優秀な経歴の持ち主で、大手医療機器メーカーのメドトロニックやゴールドマンサックス、マッキンゼーでの経験がある。会長のコール氏は政府系投資銀行のテマセクホールディングスで数年働いた後、起業家としてDocDocを含め複数の会社を立ち上げた。

DocDoc.com はその使いやすさが注目を集めている。サイトを検索するとまず画面全体にグーグルマップが現れ、評価の最も高い医師が各地に表示される。ページの右側には専門分野、場所を選択できる検索バーがあり、ユーザーの希望に合わせて適切な医師の検索が可能だ。医師にはそれぞれ個人ページが設けられており、患者は医師の基本情報、病院の所在地、空き時間を確認でき、その場でアポイントメントを取ることができる。オンライン上なのでいつでも利用可能だ。また1から5の評価を付けるレビュー機能もあるので、医師の情報は時間を追うごとに蓄積されて行く。Yahoo! Newsroomのルー氏の取材によると、同サイトの運営者であるハディ氏は医師の知名度を高め、患者と結びつける非常に効果的なプラットフォームであると語る。患者の生の声を確認できるため、信頼性も当然高い。すでにシリコンバレーやシンガポールの投資家から数百万ドルもの支援を受けており、海外への拡大も期待されている。現時点ではシンガポールと韓国が主な検索範囲であり、今後はオーストラリア、日本、香港などへ進出して行く予定だ。また一般的な医療分野に限らずカイロプラクティックなど様々な領域に範囲を広げ情報提供して行くと運営者は述べている。同サイトはユーザーにとってコストは一切掛からず、医師はサービスを利用するために毎月一定の手数料を支払う仕組みとなっている。すでに三万人近くの医師が登録しており、今後もさらなる利用者の増加が見込まれている。

DocDocはヘルスケア業界に変革をもたらし人々の生活水準を高めることを目標としているが、同時に医療水準の向上も企業理念として掲げている。将来的にはCSRの一貫としてDocDocCaresという事業を立ち上げ、収益の一部を病院や診療所に寄付することによって設備のメンテナンスや雇用の創出に貢献することを目指している。(Medister Taro 2012年10月16日)

<参考情報>
docdoc.com

いい病院 2012 (週刊朝日ムック 手術数でわかる)
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