【マレーシア】リウマチ専門家の不足
マレーシア保健省のリョウ・ティオンライ大臣によると、現在マレーシアにはリウマチ性関節炎のスペシャリストが24人程おり、リウマチの専門家が圧倒的に不足していると、The New Straits Times紙は報告している。この24名は現在主に政府系の国立病院で働いているため、私立病院に常勤している医師は少ない。世界保健機関はリウマチ専門家一人につき、人口640人程度という割合を推奨している。リウマチは早期発見が鍵であり、発見が遅れると治療が施せなくなる可能性が高い。
政府の調査によると人口の0.5%程がリウマチを患っており、リョウ大臣は殆どの人が病気の原因を理解していないと言う。リウマチが比較的気付きにくい病気であるという点を考慮すると、実際の患者数はこれより多いと考えられる。病気の主要因としては遺伝、環境、ホルモンバランスの影響などが挙げられ、子供から中高年まで発症する年齢層は幅広い。また女性は男性に比べリウマチを発症しやすいと言われている。症状が深刻化した場合、理学療法・精神療法を組み合わせた長期の治療が必要となり、治療費も高額になる。指の痛み、硬直によって日常生活に支障をきたすこともあり、患者にとって相当のストレスとなるため、リハビリテーションに加えて何らかのメンタルケアも必要なのである。
リョウ大臣が警鐘を鳴らす一方、同省のリウマチ専門家であるオスマン氏はより楽観的である。彼女によると現在16名の医師がリウマチの専門医としてのトレーニングを受けており、今後もう8名が専門課程を受ける予定だ。また先ほど私立病院に比べ国立病院の方がリウマチ専門医は多いと述べたが、この比率を維持することをプラスと捉えることもできる。低所得の患者にとってはより低い料金で治療を受けられるというメリットがあるからだ。パハン州クアンタン市では12月1日にFly My 1 Dreamという啓発イベントが開催され、保健省の関係者は関節炎などによる病気の早期発見の重要性を訴えた。癌や糖尿病に比べると発症件数は少ないが、患者にとっては深刻な問題である。引き続き注意を払い、適切に対応することが政府には求められる。(Medister Taro 2012年12月17日)
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リウマチ病診療ビジュアルテキスト 第2版 上野 征夫 医学書院 |