【マレーシア】病院経営のKPJ Healthcare Berhad
国有企業ジョホールコーポレーションの下部組織である医療機関のKPJヘルスケアは今月末にタイの首都バンコクにある大手病院の所有権を2割以上取得することに成功した。これによりアジア圏での同社の存在感がさらに高まった。同社は国内では21ヶ所の病院経営を行っており、インドネシアにも2つの病院を持つ。2011年には合計で240万人以上の外来患者、24万人の患者が同社の病院を利用した。KPJの事業内容は多岐にわたり、病院・診療所の経営の他、ヘルスケアの研究や教育などにも力を入れている。最近では医師・看護婦を養成するための専門学校、大学の設立のため文部科学省との連携を図っている。同社は1994年にマレーシア証券取引所に上場し、2007年には10億リンギット以上の収益を記録した。その後も年々収益を高め、今年に入り総合ファミリー雑誌のReader’s Digestから Trusted Brand Award(信頼できるブランド賞)受賞した。また海外市場調査会社のフロスト&サリバンからは社会貢献度の高い事業活動を評価され、ベストプラクティス賞を受賞した。KPJは利用者が常に質の高いヘルスケアサービスを受けられるよう、外部の組織(NPO等)の病院見学などを積極的に受け入れ、運営の改善に努めている。
今回所有権取得の対象となったヴェッタニー病院は毎年およそ30万人以上の患者が利用しており、海外から訪ねる患者も非常に多い。KPJはメディカルツーリズムによる収益増加を狙い、同病院に迫ったと考えられている。実際同社のホームページでは今後の目標の一つとして2020年までに収益の4分の1をメディカルツーリズムから得ることを明記している。また高齢者をターゲットとした事業の拡大にも意欲を見せており、すでにオーストラリア・ブリスベンにある高齢者移住地域(養護施設)の開発にも携わっている。医療系企業の競争が激しい中、大手企業はいかにして多角的に事業を拡大できるのか。経営者の手腕が試されている。(2012年12月10日 Medister Taro)
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医療経営白書―病医院大転換期における医療“経営"イノベーション 医療経営に新潮流をつくるための視点 ヘルスケア総合政策研究所,吉原健二(日本医療経営実践協会代表理事),医療経営白書編集委員会,堺常雄(日本病院会会長),西澤寛俊(全日本病院協会会長),日野頌三(日本医療法人協会会長),山崎學(日本精神科病院協会会長) 日本医療企画 |