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【マレーシア】経済発展を象徴する肥満問題

マレーシアの肥満問題が深刻化している。原因は主に食生活にあると考えられ、糖尿病の患者が増加傾向にある。東南アジアでは大手メディア機関として知られるボルネオポストによると30歳以上の人の実に2割以上が糖尿病に悩まされているという。実際マレーシア人に尋ねてみると多くの人が毎食、大盛りの皿を平らげるという。一昔前に比べ食糧に困らなくなった今日、満腹になるまで食べることがよしと考えられているのかもしれない。親も自分の子供に対してつい甘くなり、高カロリーの食事を出し続ける。結果低い年齢層の糖尿病のリスクが高まるのである。糖尿病以外にも高血圧による心臓病など様々な病気にかかりやすい。

2010年の世界保健機関(WHO)の発表によるとマレーシアは世界で第4位の肥満大国だ。最新の発表では40%以上の成人が体重過多か肥満体型であることが分かった。若年層は20%、小学生は26%とこちらも非常に高い数値だ。The Star Online の取材の中で肥満研究委員会(MASO)の会長であるヌーア氏は近年の経済成長、グローバル化による市場の拡大などが食品の流通を加速し、肥満体型の人を増やす原因となったと指摘する。また運動量の減少も主要因の一つだ。

実際マレーシアの肥満問題が頻繁に取り上げられるようになったのは国が経済的発展を遂げてからだ。特に低所得層の食生活の乱れが著しいとヌーア氏は語る。MASOは彼らに向けて定期的にヘルスフェアなどを開催し、講演を通じて肥満予防・対策を呼びかけている。これまでに政府は具体的な解決案を提示せず、肥満問題を軽視してきたため、肥満人口が一気に膨れ上がってしまった。厚生労働大臣のライ氏は標準値を超えるBMI(体格指数)を記録した人の増加を危惧し、食生活の改善を積極的に促す必要があることを強調したが、決定的な突破口は未だ見えずにいる。(Medister Taro 2012年11月2日)

<参考情報>
ボルネオポスト
The Star Online

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