【マレーシア】58万人が訪れるマレーシアへのメディカルツーリズム
以前シンガポールの医療についてお話した際、メディカルツーリズムが大変盛んであることを述べたが、お隣のマレーシアも海外からの患者の誘致に積極的な姿勢を見せている。マレーシアには急速に発展している都市や魅力的な熱帯林、ビーチリゾートなどがあり、すでに世界的な観光地としての地位を確立している。これらに加えてトップレベルの医療サービスも有していることを同国はこれまでに度々海外にアピールしてきた。政府・医療機関の努力の甲斐もあり、2008年にはメディカルツーリズムが最も発展している国として第3位にランクインした(NuWire: 2008年より)。そして現在も外国人患者の数は上昇傾向にある。2011年には前年に比べ48%程患者数が増え、583,000人以上が来訪した。保健省のライ氏は今月同国で開催されたMalaysia International Healthcare Travel Expoにて、人工膝関節全置換術、心臓・癌摘出のための外科手術等、特定の治療を求めて訪れる人が大多数であることを述べた。また最近では整形手術のレベルも向上しているようで、こちらも人気を集めている。一般的な医療サービスの他にはフィットネスクラブ、マッサージ店などがあり、誰でも気軽に利用することができる。
マレーシア政府は外国人患者をより多く受け入れるため、Malaysia Healthcare Travel Council (メディカルツーリズムの協議会)を設立し、外国からの問い合わせに常時対応している。現在ダッカ、ジャカルタなど周辺国に事務所を複数設けており、来年からは香港にも拠点を設ける予定だ。政府はさらにクアラルンプール国際空港など国の出入り口となる場所でメディカルギャラリーと称し、ヘルスケア関連の施設を造ることまでも視野に入れている。尚、ライ氏は後の記者会見で主に韓国、バングラデッシュ、ネパール、ミャンマー、中国からの患者の増加に期待していることを述べた。
シンガポールと同様に、マレーシアで治療・手術を受ける利点は多い。リーズナブルな医療費・為替相場に加え、アクセスも非常に良い。LCCなど格安航空会社が増えたのも人気を高めている理由の一つかもしれない。また大体の診療所・病院で英語・マンダリン・広東語が通じるため患者は安心して医師・ナースに相談ができる。医療技術が欧米諸国と同等のレベルであれば、患者数が増えるのは必然的な現象と言えるだろう。(Medister Taro 2012年11月28日)