【モンゴル】モンゴル伝統芝居を表すボー信仰
「ボー」は、紀元前モンゴルで貴族や金持ちが病気になったときに、身代わりを悪霊に捧げる事によって治療するという儀礼であり、自然崇拝、先祖崇拝などが合わさったシャーマニズムの一種。モンゴル語でシャーマンを意味する。ボーは精霊や祖先霊などの超自然的存在と直接に交流をすることによって、人間界側に起きた問題の解決を図ることの出来る人物だと信じられていた。彼らの役割は自然界や人間界の秩序が乱れたときにそれらを「正す」ことにある。病気治療、失せ物探し、退魔招福などが主な活動である。また人間側の希望を超自然的存在に伝えるのもボーの仕事だ。彼らは人間と自然、超自然の間の取り次ぎ役をすると同時に、それぞれの世界の安全弁の役割を果たすのである。
ボーは儀礼時には、太鼓を叩きながら、精霊や祖先霊を呼びだす歌を歌う。単調な太鼓のリズムに合わせて、体を揺すり続け、ボーの精神状態は非常に高揚してゆき、トランス状態に入っていく。この状態で超自然的存在と交流をはじめるのである。この太鼓のリズムに合わせて、体を揺すり続ける動きが、紀元前のモンゴル伝統芝居に関係があると研究されている。1930年代に宗教弾圧で一時活動が弱まったが、近年、民主化の動きの中で、活動が再開し、活発化しているようだ。(オド 2012年8月29日)