【台湾】ビンロウジの食道がんリスク
台湾では食道がんによる死亡者が年々増加している。周辺諸国では1990年頃を境に減少傾向にあるが、国立台湾大学病院(NTUH)の研究によると台湾では10万人あたり7人から10人へと増えているのだ。同病院は急遽10月に対食道がん協会を設立した。
特に男性のがん患者が多く、研究員のリー氏は最大の要因としてビンロウジ(檳榔子:areca nut / betel nut:噛みタバコのようなもの)の摂取を挙げるとFocus Taiwan誌(2012年10月20日)が伝えている。
依存性、発がん性が高く、10年間にわたり1日10個食べ続けるとがん発症のリスクが倍になるという。これに加えタバコを吸う人はさらに20%~60%程リスクを高めると同氏は指摘する。最も深刻なのは30歳を迎える前に死亡する人がいるという点だ。台湾では食道がんにより死亡する人の平均年齢は58歳ぐらいと言われている。若い頃からタバコを吸い始める人が多く、中年になると食べ物が飲み込みづらくなり、腹痛を頻繁に起こす等、様々な症状が出始める。これらは多くの場合食道がんの初期段階であり、手術、放射線治療、化学療法によって治す必要がある。しかし初期段階でがんを発見することは極めて難しいため、正確に判断したい場合は胃腸内視鏡検査を受けなければならない。癌がさらに進行すると呼吸、発声をすることが困難となる。
また最近発表された高雄市のE-Da Hospitalと台北病院の共同研究によると食道がんの患者は10%以上の確率で同時に頭頚部癌を発症する場合がある。食道がんの主な予防策としてはビンロウジの摂取、喫煙、あるいはこれらの組み合わせを控え、食道に負担を掛けないようにすることだ。またがん疾患の家系を持つ場合は定期的に診察を受けることが肝要だ。
政府は主要因の一つであると見られている喫煙を防止するため、現在様々な政策を打ち出している。例えば首都台北の衛生署は喫煙によるリスクを呼びかけるビデオの作成を一般公募で受け付けることを決定した(賞金あり)。また台南市の東部では喫煙・噛みタバコ禁止のジョギングコースを設けた。ジョギングを通して高齢者の運動を促すとともに、癌予防の対策としてこのような環境整備を行ったと思われる。政府の対応はもちろん不可欠だが、最終的には個人がしっかりとしたライフスタイルを送ることが重要である。(Medister Taro 2012年11月22日)
<参考情報>
http://focustaiwan.tw/ShowNews/WebNews_Detail.aspx?ID=201210200026&Type=aSOC
http://www.taipeitimes.com/News/lang/archives/2012/10/29/2003546330