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【特集】平成23年受療行動調査(病院の患者満足度)


厚生労働省は、平成24年9月11日、医療機関の患者満足度を調べる「平成23年受療行動調査」をまとめ、結果を発表した。20床以上の病院を500施設ランダムに抽出し、150,620人の患者から回答を得た。

■来院理由
外来と入院でそれぞれアンケートをとっており、病院を選んだ理由については、外来では規模の大きい病院では「医師による紹介」が半数近くを締めるものの、小病院では「自宅や職場・学校に近い」という利便性が評価されていた。一方、入院においては「医師による紹介」が規模に関わらず最も多い来院理由となっていた。

■情報源
病院を選択する際の情報源については、半数以上の患者が外来でも入院でも事前に情報を得て来院しているようだ。医療機関の相談窓口が最も多く(外来:26%、入院:42.4%)、次いで病院自体のホームページ(外来:13.2%、入院:10.6%)、病院の看板やパンフレット(外来:11.9%、入院:8.8%)、行政からの情報などと続く。病院・行政機関以外が発信するインターネットの情報(外来:5.4%、入院:5.0%)、新聞・雑誌・本の記事やテレビ・ラジオの番組(外来:4.6%、入院:3.6%)などメディアの影響も10%程度の影響があるようだ。

■予約と待ち時間、診療時間
診察の予約状況については、64.4%は予約しての来院となっている。
平均的な待ち時間は、規模が大きい病院では30分以上1時間未満にピークがあり、規模が小さい病院では15分以上30分未満にピークがあった。但し、2時間以上の待ち時間だっという回答が4%ほどあり、大きな改善が必要な病院もあるということだ。診察時間のピークは3分以上10分未満であり、規模に関わらない。

■自覚症状
自覚症状があって来院している患者は58.5%、自覚症状がなく来院している患者は24.8%であった。自覚症状のある患者は、初診のときも約半数(49.3%)がその時に来院した病院に来ており、診療所が初診だった患者はわずか17.0%であった。自覚症状がなかった患者は、健康診断の結果で来院したというのが37.8%であった。自覚症状があった患者は、症状が出てから3日以内に来院したのが32.7%であったが、1週間以上放置してから来院した患者は48.2%もいた。これは、様子を見ようという患者の自己判断によるものが62.6%であり、患者の健康にとって、リスクが潜んでいる可能性がある。

■セカンドオピニオン
セカンドオピニオンに対する必要性の認識は、外来で23.4%、入院で34.6%であった。認識はそれほどされていないが、セカンドオピニオンを受けた経験がある患者は、外来で79.3%、入院で82%の「良かった」という満足を示しており、患者満足を高める上で、セカンドオピニオンの認知度向上は今後の課題であろう。

■入院患者の希望
入院患者の約半数(51.2%)は完治するまでその病院に入院を希望していた。しかし、外来でその病院に通院したいという患者が24%、在宅療養したいという患者が3%という希望もある。在宅での治療に対する希望はまだ多いものでは無いが、今後国家戦略的に在宅治療を増やす方針があるのであれば、患者のニーズを高めていくことも必要だ。

■自宅療養の見通し
退院許可が出た場合、自宅療養できるかどうかという質問では、「自宅療養できない」という意見が28.5%となった。その理由は様々で、家族の協力、介護サービス、医師・看護師の定期的な訪問、緊急時の連絡網、療養のための指導、用具の準備などの条件が揃わないようだ。「どの条件が整えばよいかわからない」という回答も20%あった。患者への情報提供の強化と、在宅医療や介護の社会インフラの整備がより一層必要という結果だ。

■患者の満足度
外来では、49.7%は満足していた。項目別では、待ち時間に対する不満が25.3%と多く、次いで診察時間に対して7.8%の不満があった。入院では、41%は満足していた。不満は、食事の内容に対して14.5%、病室・浴室・トイレに対して11.2%の不満であった。

患者満足度調査を自院で行うには費用がかかるが、こういった公的な調査結果を自院の状況に当てはめ、改善を検討することは重要であろう。また、患者へのセカンドオピニオンや在宅医療に対する情報提供も今後さらに必要となるだろう。(Medister 2012年9月12日)

<参考情報>
平成23年受療行動調査の概況(概数)