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アクリルアミドの摂取は男性の悪性リンパ腫のリスクとなる

アクリルアミドは多くの食品に含まれている発がん物質の候補であり、神経障害を引き起こすことが知られている。2002年に揚げたり、焼いたりした馬鈴薯加工品や穀類加工品、つまりポテトチップスやフライドポテト、ビスケットやクッキーなどに含まれる可能性が報告されている。また、コーヒー豆、ほうじ茶葉、煎り麦のように、高温で焙煎した食品に含まれることから、それを抽出したコーヒー、ほうじ茶、麦茶にも含まれる。我が国でも農林水産省消費・安全局消費・安全政策課が注意喚起している。神経毒性が大きく取り上げられていたが、疫学研究により様々ながんとの関連性も示唆されている。

今回、マーストリヒト大学医療センター(オランダ)のPiet A. van den Brandt氏らは、前向きコホート研究によりアクリルアミド摂取量と悪性リンパ腫の関連性を検討し、学術誌「PLoS ONE」のオンライン版に報告(2012年6月18日)した。

120,852人の男女が1986年9月以来フォローアップされた。アクリルアミド摂取量はオランダの食品中のアクリルアミドのデータと組み合わせて、食物摂取頻度調査から推定した。フォローアップから16.3年経って、1,233例の悪性リンパ腫が顕微鏡観察で確認され、多変量解析により評価された。多発性骨髄腫と濾胞性リンパ腫では、男性におけるハザード比は1.14 (95% CI: 1.01, 1.27) と 1.28 (95% CI: 1.03, 1.61)であった。喫煙未経験の男性では、多発性骨髄腫のハザード比は1.98 (95% CI: 1.38, 2.85)であり、一方女性では相関はみられなかった。

以上より、Piet A. van den Brandt氏らは「男性のアクリルアミド摂取は多発性骨髄腫と濾胞性リンパ腫のリスクを高める可能性が示唆された」と述べている。(Medisterニュース 2012年6月20日)