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アスタキサンチンは男性もキレイにする

アスタキサンチンは天然のカロテノイドの一種であり、蟹や海老、鮭、鯛などの赤色色素として身近に得られる栄養素だ。これら食物連鎖で上位に位置する生物は、海中の藻類などのアスタキサンチンを含んだプランクトンを摂取し、鮭であれば筋肉に、鯛であれば表皮に色素を沈着させる。

富士化学工業株式会社の山下(英治)氏らは、アスタキサンチンがヒトの男女それぞれの皮膚における美容効果を検証して、学術誌「Acta Biochim Pol.」オンライン版に掲載(3月17日)後、印刷版にも掲載(Vol. 59, No 1)された。

健康な女性30人に対し、8週間のオープンラベル非対照試験を行い、1日あたり6 mgのアスタキサンチン(Haematococcus pluvialisより抽出)の経口投与と、2 ml (78.9 μM solution)の局所塗布による皮膚の状態改善を観察した。その結果、皮膚のしわの改善(8週:目尻の皺)、シミのサイズ(8週:頬)、皮膚の弾性(8週:目尻の皺)、肌のきめ(4週:頬)、角質層の水分含有量(8週:10名の乾燥肌の被験者)と角質細胞の状態(8週:頬)において有意な改善が確認された。

また、健康な男性36人に対し、8週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行い、目尻の皺や弾力性、および経皮水分蒸散量(TEWL)は、アスタキサンチンを1日6 mgの経口投与により改善がみられた。さらに、頬の含水率と皮脂の脂の量は、改善の傾向が強くみられた。

以上の結果より、著者らはアスタキサンチンの効能として、女性だけでなく男性の皮膚の美容にも効果的だと述べている。

アスタキサンチンを活用した化粧水や化粧品は様々なメーカーにより商品化されてきたが、これまでは女性向け中心のラインナップだった。一方で、日本能率協会総合研究所が2011年11月に行った「男性化粧品」使用実態調査(全国の20~59歳男性を対象)では、被験者421人に対して半数以上がパックや目元クリームに対し「使用の抵抗感がない」と回答しており、今後の男性向け化粧品の商品化、ならびに市場拡大において、アスタキサンチンの利用促進が期待される。(Medisterニュース2012/5/3)