医療NEWS

インフルエンザによる糖尿病患者の死亡率とリスク要因

一般に、血糖値が高い患者は免疫力が低下しており、インフルエンザに罹患した場合、肺炎などを併発し、重症化するリスクが高まると言われている。

レイフアンカルロス大学予防医学ユニット(スペイン)のCarrasco-Garrido P氏らのグループは、スペインの国立病院のデータベースを活用し、レトロスペクティブ研究を行い、インフルエンザA(H1N1)pdm09で入院した糖尿病患者の死亡率とリスク要因を検証し、医学誌「Influenza Other Respi Viruses.」のオンライン版に報告(2012 Aug 7)した。

Carrasco-Garrido P氏ら、2009年に研究室で確認されたインフルエンザA(H1N1)pdm09の入院者11,499例を集計し、1型糖尿病は97例、2型糖尿病は936例、糖尿病の有病率は9%という結果を得た。毎年インフルエンザの予防接種、妊娠、肥満の指標を含む基礎疾患と危険因子の情報から、病院内での致死リスク、入院期間、コストを分析結果変数として検証した。2型糖尿病患者で最も一般的な基礎疾患は肥満(26.8%)であり、1型糖尿病患者では腎臓病(10.3%)だった。院内死亡率は、1型糖尿病患者で2.1%、2型糖尿病患者で3.8%、非糖尿病患者で2.3%であったが、多変量解析の結果、糖尿病はインフルエンザA(H1N1)pdm09と入院中の死亡を関連付ける独立因子ではなかった。糖尿病患者の死亡リスクを増大させる独立因子は、年齢(オッズ比1.03)、血液疾患(オッズ比3.49)、肥満(オッズ比1.88)であった。また、インフルエンザA(H1N1)pdm09に感染した入院患者では、糖尿病の年齢別有病率は、ほとんどの年齢層の一般人口よりも高かった。

以上より、年齢や肥満などの要因が、死亡リスクを増大させることが示唆された。インフルエンザに罹患した糖尿病患者の診療において、リスクを検討する上で検討材料となる要因が明確になることで、リスクに対する危機意識が共有できるとよい。(Medister 2012年8月15日)

一生インフルエンザにかからない体質の作り方