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エビデンスに基づいた医療者向け指針作成

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、がん患者に対するアピアランスケアの医療者向け手引き書「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」を作成した。

元々アピアランス(Appearance)は、広く「外見」を示す言葉である。がん患者のアピアランスケアは、患者の外見問題の解決を学際的・横断的に扱う新たな領域とし、そのための個々の支援方法を「アピアランス支援:外見に関する諸問題に対する医学的・技術的・心理社会的支援」としている。

近年、がん医療(手術療法、放射線療法、化学療法)の進歩により生存率が改善し、また通院治療環境の整備により仕事を持ちながら通院している患者が32.5万人(厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」を基に同省健康局にて特別集計)とも言われている。このような背景により、がん患者の治療に伴う外見変化に対する意識が強まり、医療現場におけるサポートの重要性も認識され始めている。しかし、具体的なアピアランスケアの方法については、未だ玉石混交の情報が流れており、根拠のない情報や実生活に合わない情報に戸惑う患者さんや医療関係者から多くの質問が当センターに寄せられている。

「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」は、治療や患者指導、情報提供を行う医師・看護師・薬剤師・その他医療従事者を対象としている。医療者がより良い治療や患者支援の方法を選択する際の指針となるよう、アピアランスケアに必要な情報をエビデンスに基づき整理したものである。本手引きは、現在までに集積しているエビデンスを記すことによって、エビデンスの少ないアピアランスケア研究の現状と課題も明らかにしている。このような現状と課題を示すことは、新たな議論や研究を生むきっかけとなり、アピアランスケアの発展につながることが期待される。

この手引きは、医療者ががん患者に対しどのような外見ケアを指導すればよいかの基準として使用されることを想定した内容となっており、一般の患者が自分で行うアピアランスケアの手引書ではない。また、患者が自分で行う具体的なケアの方法を説明したり、使用する製品を推奨するような内容でもない。そのため、「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」購入を希望する患者は、各自でページのイメージをご覧の上、各自の希望に合う内容かどうかを確認の上、購入を検討していただきたい。
(Medister 2016年8月8日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター エビデンスに基づいた医療者向け指針作成「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」
「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」ページのイメージ-1
「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」ページのイメージ-2