キトサン摂取によるダイオキシンとポリ塩化ビフェニルの糞便中排泄
キトサンはポリ-β1→4-グルコサミンという多糖類で、カニやエビなどの甲殻類の外骨格から得られるキチンを脱アセチル化して得られる。非植物性の食物繊維として機能性素材として各方面で開発が進められている。これまでキトサンがラットでBPAやDEHPなどの排泄を促進する結果や、僅か1例のヒトの症例で、ダイオキシンの排泄を促進する結果が得られていた。
そこで、大塚製薬株式会社大津栄養製品研究所の甲田哲之氏、斉藤高雄氏らのグループは、6例の健康な男性被験者に対し、4週間キトサンを週ごとに投与して、被験者の便に含まれるダイオキシン類やポリ塩化ビフェニル(PCB)を定量し、これら毒物の排泄機能を検討し、学術誌「Biosci Biotechnol Biochem.」に報告(2012 Jun 23;76(6):1195-200.)した。
被験者には、週の2日目、3日目、4日目の朝食前にキトサンを投与し、2日目、4日目の朝食の際に糞便検体を収集した。ダイオキシン類及びPCBの糞便への排泄は、キトサン3 gの摂取によって促進され、脂肪の排泄量と相関していた。
以上より甲田哲之氏らは、「キトサン摂取は脂肪の排泄だけでなく、ダイオキシンやPCBの排泄を増加させ、体内に蓄積した親油性の内分泌攪乱化学物質の削減に効果的であることを示唆している。」と結論付けており、ヒトの臨床試験において毒素の排泄に寄与していることが示唆された。(Medister 2012年7月20日)