ソフトドリンクなどに含まれる“カラメル色素”をめぐる問題
2015年2月18日、コーラや黒ビールなどの飲料、ソースなどの食品に含まれる「カラメル色素」には、発癌性が疑われる4-メチルイミダゾール(以下、4-MEI)が含まれており、規制が必要であるとの報告が公表された。米国ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学を中心とする研究グループによるこの研究成果は、PLoS One オンライン版で公表されている。
研究グループでは、カラメル色素の1日あたりの摂取量の上限を29μgと定め、過剰摂取とならないよう警告を表示するよう法律で縛りを設けているカリフォルニア州と、規制のないニューヨーク州で購入した4-MEIを含む可能性のある飲料から、4-MEIの濃度を分析した。さらに実際に飲料を飲んでいる人種・性別などを比較した。
その結果、最も濃度が高かった飲料は、30mLほどでカリフォルニアの州法の基準を超えるという結果となった。これらの飲料を愛飲しているグループでは、発癌リスクが疑われた。
一方で、最も低かったのはコカ・コーラであり、3L以上飲むことで初めてカリフォルニアの州法の基準を超える水準だった。
研究者たちは「購入する地域によって4-MEIの含有量にはかなりのバラつきがあった。しかし特定の飲料を多く飲み続けることで、1日あたり29μg以上の曝露を受ける。カラメル色の4-MEIに対する連邦規制が適切である」と結論付けている。
そもそも4-MEIは、カラメル色素の製造時に生じる、微量な不純物である。カラメル色素にはE 150a、E 150b、E 150c、E 150dがあり、今回問題視されている4-MEIは、E 150c、E 150dに含まれている。各国によってカラメル色素の分類や、4-MEIなどの含有量には違いがある。日本では厚生労働省が1980年代に、安全性に問題はないと報告している。2011年・2012年には、欧州食品安全機関(EFSA)も、カラメル色素の使用による 4-MEI 暴露について懸念はないと結論している。
しかし子どもが好む飲料などに含まれることを考えると、今後もさらなる検討が必要ではないだろうか。今後の動向に注目していきたい。
(Medister 2015年3月4日 葛西みゆき)
<参考資料>
Caramel color in soft drinks and exposure to 4-methylimidazole: a quantitative risk assessment.
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)