医療NEWS

ヒマラヤ松は穏やかな鎮痛作用と抗炎症作用がある

ヒマラヤ松、もしくはウィリアム・ロクスバーグにちなんで名付けられた学名Pinus roxburghiiと呼ばれる松は、ヒマラヤを原産とするマツ科の植物だ。インドでは古来よりマツ科の植物は薬効があるとされ、医療に用いられてきた。

植物の油が様々な炎症性疾患を回復させるための漢方薬として使用されているが、クルクシェトラ大学のRana AC氏らはヒマラヤ松の樹皮抽出液の鎮痛作用および抗炎症作用を検証し、医学誌「Adv Pharmacol Sci.」に報告(2012年6月14日)した。乾燥され、粉砕された松の葉は、石油エーテルで脱脂した後、アルコールで抽出された。アルコール抽出液は、100 mg/kg、 300 mg/kg、 500 mg/kgの用量で実験動物において鎮痛作用および抗炎症作用を評価された。鎮痛作用は、マウスにおける酢酸誘発性の身もだえと尾浸漬試験によって評価した。急性および慢性の抗炎症活性は、ラット炎症モデルによるカラゲニン誘発性足浮腫およびのコットンペレット肉芽腫により評価した。ジクロフェナクナトリウムおよびインドメタシンを、それぞれ鎮痛剤と抗炎症薬として用いた。その結果、ヒマラヤ松の樹皮抽出液は、カラゲニン誘発性足浮腫ラットにおいて、投与後1時間のインドメタシンほどの作用(70.4%)はないものの、500 mg/kgの濃度で45.07%の浮腫低減効果が見られた。コットンペレット肉芽腫に対しても、インドメタシンの効果に対し、同様の効果が認められた。鎮痛作用に関しては、酢酸誘導の身もだえに対し、ジクロフェナクナトリウムが90%の鎮痛作用、抽出液は80%の効果が見られた。同様に尾浸漬試験においても穏やかではあるが効果が認められた。

フランス海岸松の樹皮からはピクノジェノールは抗酸化作用や抗炎症作用が知られ、心血管系の健康やスキンケア、認識力、糖尿病、炎症、スポーツ栄養、喘息とアレルギーの緩和、月経困難症など様々な効果が臨床試験としても報告されている。ヒマラヤ松の臨床研究はまだ少ないが、効果検証が期待される。(Medister 2012年7月6日)