ビタミンDは高齢者の肥満患者の心血管を健康に保つ
我が国では肥満に対するダイエットとして様々なダイエット法が提唱されている。中でも医療においては抗肥満薬として、食欲抑制作用を制御するサノレックスが上市しており、外科的な肥満手術が行われることもある。肥満手術による体重減少は心血管系合併症を減少させるものの、外科的介入に死亡する懸念も拭えない。前向きコホート研究では、ビタミンDとカルシウムは血管の健康に対して相関関係が知られている。
心臓病Dante Pazzanese研究所(ブラジル)のFaintuch J氏らは、肥満外来患者(60歳以上、44人)の食事で摂取している栄養素についてインタビューして、栄養素と血管の健康状態の関係性について調査し、医学誌「Obes Surg.」に報告(2012 Mar;22(3):437-44.)した。
栄養評価は人体計測と生体インピーダンス解析(BIA)、血液測定、脂質プロファイル、グルコース恒常性、炎症性マーカーを対象とした。血管計測に加えて、頸動脈内膜中膜厚(IMT)と上腕動脈内血管拡張反応検査(FMD)によるデータを解析した。その結果、IMT値、FMD値、上腕基底流量はビタミンDの摂取と相関した。カルシウムの摂取は上腕基底流量にのみ相関し、IMT値は関連性なし、FMD値は負の相関がみられた。また、ビタミンA、ビタミンB12の摂取はFMD値に対し正に働き、鉄の摂取はIMT値に対し負に相関した。
以上より、Faintuch J氏らは「ビタミンDが血管の各数値に影響力があったため、心血管代謝リスクのある方にもっと注目されるべきだ」と述べている。なお、ビタミンDの循環器に対する効果は各種の報告があり、人種や基礎疾患によって検討が必要な可能性もあり、今後の詳細な研究が期待される。(Medisterニュース 2012年3月31日)