ビルベリーによる心血管リスク低減の分子メカニズム
ビルベリーは北欧やヨーロッパを中心に生育し、果実はブルーベリーより小ぶりで、生食、ジャム、ジュースなどで摂取される。成分のアントシアニンに着目し、栄養補助食品(サプリメント)としても知られるようになった。
東フィンランド大学のRiitta Törrönen氏らのグループは、ビルベリー(コケモモ)には潜在的な抗炎症作用を持つポリフェノールが豊富に含まれているが、心血管代謝リスクになる低悪性度の炎症に対する効果について検討し、学術誌「Molecular Nutrition & Food Research」に報告(Volume 56, Issue 10, pages 1501–1510, October 2012)した。
Riitta Törrönen氏らは、ビルベリー含有食の被験者15例、対象食の被験者12例に対し、無作為化対照食事介入試験を行った。ビルベリー群は毎日400gのビルベリーを摂取した。体重やグルコース、脂質代謝におけるグループ間で認められなかったが、ビルベリー群は、血清高感度C反応性蛋白、IL-6、IL-12、およびLPS濃度を減少させる傾向が見られた。炎症スコアは有意な差が見られた。ビルベリー群で経口ブドウ糖負荷試験により改善した3例の被験者について、トランスクリプトーム解析を行ったところ、Toll-like受容体シグナル伝達経路、細胞質リボソーマルタンパク質、B細胞受容体シグナル伝達経路において、異なった制御が見られた。QPCR解析により、単球とマクロファージの機能に関連するMMD及びCCR2転写産物の発現低下が見られた。
以上より、「標準的なビルベリー消費は、軽度の炎症を減らし、長期的には心血管代謝リスクを低減により減らすことができます。」と述べている。なお、ビルベリーはアントシアニンが有効成分として知られるが、本研究では生のビルベリーを摂取して検証しており、有効成分には言及していないため、従来のサプリメントに同様の効果があるとは結論できないと考えられる。(Medsiter 2012年10月10日)