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ピスタチオによる、高脂血症患者のストレスに対する収縮期血圧および末梢血管応答の減少

地中海原産のピスタチオは、イラン、アメリカ、トルコ、シリアなどで生産され、最も人気の高い豆類の一つだ。地中海型食生活においても、オレイン酸を豊富に含むことからヘルシースナックとして毎日の食事に意識的に取り入れられている。ピスタチオの摂取により血圧および末梢血管抵抗の減少し、心血管リスクを低減させることが示唆されている。

ペンシルバニア州立大学のKris-Etherton PM氏らは、ピスタチオの摂取による効果を、高脂血症患者の急性ストレスに対する血管内皮機能を評価するFMD値と血圧応答により評価し、医学誌「Hypertension」に報告(2012 Jul;60(1):58-63.)した。

高脂血症患者28名に対し、無作為化クロスオーバー試験を行った。典型的な西洋食(35%総脂肪・11%飽和脂肪)の2週間続けた後、次の試験食が4週間提供された。
1)低脂肪食(25%総脂肪・8%飽和脂肪)
2)総エネルギーの10%をピスタチオから摂る食事(平均1日1度:30%総脂肪・8%飽和脂肪)
3)総エネルギーの20%をピスタチオから摂る食事(平均1日2度:34%総脂肪・8%飽和脂肪)

安静時の血行動態の測定値は、いずれも大きな違いはなかった。安静時とストレス時に反復測定分析を行い、1日1度のピスタチオを含む食事と1日2度のピスタチオを含む食事では、収縮期の血圧変化が1日2度の方が緩徐(1日1度:1日2度=-4.8 mm Hg:-2.4 mm Hg)となった。高用量食の後に、末梢血管抵抗の有意な減少がみられ、これらの変化は心拍出量の増加によって部分的に補正された。空腹時のFMD値に食事の影響は見られなかった。

以上の結果より、ストレス時にピスタチオ摂取群では収縮期血圧の変化が減少し、心血管リスク低下に関連することが示唆された。高脂血症患者という疾患を患った状態において、ストレスに対する耐性を高める効果があると言える。(Medister 2012年8月23日)