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乳癌診断の新しい道しるべとなるか 血液検査による乳癌診断実用化へ

独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発プロジェクト」において、山口大学 医学系研究科臨床検査・腫瘍学分野 末廣 寛准教授の研究テーマ「血液検査だけで乳がんができやすい体質になっているかを調べる技術」を採択した。これにより、当システムの実用化に乗り出したこととなり、乳癌発症の予防や、早期診断・治療に役立てる方針だ。こうした「がん発症の予測診断」は世界初という。

従来の乳癌検診は、癌を発症した患者の「がん組織」を検査の対象としているが、今回採択されたシステムは「癌になる前」の時期に行う検査であり、検査対象は癌組織ではなく、「血液細胞DNA」となる。この点が従来の乳癌検診とは根本的に異なり、あくまで「乳がんになりやすさに関わるDNAコピー数多型」を調べることで、被験者が乳癌になりやすい体質であるか否かを判定し、将来の乳癌発生リスクを予測する。

日本における乳癌検診は、1987年度から老人保健法にて「30歳以上に問診・視触診検診を逐年で行う」と定められ、全国的に導入された。さらに2000年度からは50歳以上,2004年度からは40歳以上に対し、マンモグラフィ併用検診が行われている。しかし例えば35歳未満の若年層の場合は、乳房組織が高齢女性に比較して高濃度乳房であり、マンモグラフィによって乳癌を検出することが難しいため推奨されない。また、近年は食生活の変化などにより乳癌患者が増加傾向にあり、日本では女性の癌の一位となっている。その一方でマンモグラフィをはじめとする画像診断には限界もあり、特に40歳未満では触診・マンモグラフィだけで早期乳癌を発見できない場合もある。
これらの点から考えても、「乳癌になりやすい体質」と判定された症例では、食生活や運動・喫煙習慣などのライフスタイルの改善や、定期的な乳癌検診を受ける動機づけを行うことが可能となり、乳癌発症のリスクを抑制することが期待されている。
(Medister 2013年10月28日 葛西みゆき)
科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 2疫学・診断編 2013年版
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