健康なヒトのポリフェノール摂取による効果
ポリフェノールは、フェノール性ヒドロキシ基を持つ植物成分の総称で、光合成をする植物の色素や苦味の成分の一つである。ポリフェノールは、ワインやお茶などの飲料から手軽に摂取でき、DNA、蛋白質、脂質などの酸化的損傷を減らすことができるとされている。しかし、健常者におけるポリフェノールの効果は明確に定義されていない。そこで、Universitat Rovira i Virgili(スペイン)のRosa Solà氏らのグループは、尿中総ポリフェノールの排泄(尿TPE)と総ポリフェノール摂取量(TPI)、ポリフェノールが豊富な食品の摂取と、酸化ストレスのバイオマーカーを、様々な年齢の健常者で評価して、学術誌「Molecular Nutrition & Food Research」に報告(Volume 56, Issue 7, pages 1025–1033, July 2012)した。
81名の参加者(女性46名)の参加者を、18 歳から39歳まで、 40歳から54歳まで、 55 歳から72歳までの3つのグループに分け、尿TPEをホリン-シオカルト法により測定した。TPIはフェノール・エクスプローラー・データベースにより3日間の食事記録から定量した。その結果、尿TPEは年齢とともに増加した。また、尿TPEは、尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)と赤血球酸化型グルタチオン濃度に対し逆の相関を示した。8-OHdGと野菜や赤ワインなどの発酵飲料からポリフェノールを摂取する食事の逆相関がみられた。
以上よりRosa Solà氏らは、「尿TPEは加齢とともに増加することから、老化とともに酸化的損傷の減衰することが説明できるかもしれない。豊富な野菜と適度な赤ワインを中心とした地中海の食事は、健常者に有益な効果をもたらすことを説明できる。」と述べている。(Medister 2012年7月30日)