分化型甲状腺癌に新たな治療法 ソラフェニブが適応拡大へ
2014年6月20日、バイエル薬品株式会社(本社:大阪)は、抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤としてすでに日本国内で販売されているソラフェニブ(商品名:ネクサバール®)が、根治切除不能な分化型甲状腺癌への適応拡大を厚生労働省より承認されたと発表した。ソラフェニブはこれまで、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」および「切除不能な肝細胞癌」の効能・効果で承認を取得しており、それまで治療が困難であった患者に対する治療選択肢の1つとなっている。
日本における分化型甲状腺癌患者数はおよそ29,000人。全甲状腺癌の およそ95%を占め、主に乳頭癌、濾胞癌、低分化癌に分類される。切除不能な患者に対する効果的な治療法がなく、新たな治療法の開発が望まれていた。
ソラフェニブは、分化型甲状腺癌への無増悪生存期間の延長を示した、世界初の分子標的治療薬である。米国では 2013 年 11 月に「放射性ヨウ素治療抵抗性の局所再発又は転移性の進行性分化型甲状腺癌」の治療薬として承認されており、さらに欧州でも 2014 年 5 月に「放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性の分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、ヒュルトレ細胞癌)」の治療薬として承認されている。現在では100か国以上の国で承認されている薬剤だ。日本では切除不能な腎細胞癌・肝細胞癌に続く、『(その疾患では)初めての分子標的治療薬』となるという。
今回の承認は、18 カ国 77 施設で実施された、プラセボとの比較対象第Ⅲ相国際共同臨床試験、DECISION試験の結果によるもの。この試験は、抗癌剤等による治療歴のない、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行または転移性の進行性分化型甲状腺癌の患者 417 例を、ソラフェニブ 400mg を 1 日 2 回経口投与群(207 例)と、プラセボ投与群(210 例)に無作為に割り付けて行われた。その結果、ソラフェニブは主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された(PFS中央値:ソラフェニブ群10.8ヶ月 vs プラセボ群5.8ヶ月)。
(Medister 2014年6月24日 葛西みゆき)
肝細胞癌に対するソラフェニブ 第2版―チームネクサバール-国立がん研究センター東病院のチーム医療