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印刷会社の胆管がん発症事件の現時点のまとめ

胆管がんは、60歳までで見ると人口10万人あたり20人以下の稀な疾患であるが、大阪市中央区の印刷会社、サンヨー・シーワィピーでは現元従業員計16人が胆管がんを発症し、そのうち8人が死亡するということが、2012年の労働者支援団体や厚生労働省の調査により判明した。

サンヨー・シーワィピー社では、労働安全衛生法に違反し、従業員が50人以上になった01年8月からこうした義務が生じていたことを認めていながら産業医や衛生管理者を置いていなかったことが判明している。

換気の不十分な工場内に、インクを落とす洗浄剤に含まれる化学物質「1,2-ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」が充満し、がんの原因となったと考えられている。吸引などした場合、これらの物質は肝臓で主に分解されるが、高濃度になると肝臓だけでは追いつかず、胆管にも負担となり、この分解の過程で胆管の細胞ががん化すると考えられる。

厚生労働省によると、サンヨー・シーワィピー社も含め、印刷会社に勤務し、胆管がんを発症したとして労災申請したのは2013年2月月末現在で64人(うち申請時の死亡39人)おり、今回の16人(同7人)を除く残る48人(同32人)が、今後検討会で判断される見通しだ。(Medister 2013年4月4日)

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