医療NEWS

各地で、癌の啓発活動、癌経験者らの交流会などの活動が行われている

2015年2月22日、大阪で第9回「大腸がん死亡ゼロを目指して」(毎日新聞社主催、府医師会などが後援)が開かれた。市民800人に対し、講演した3名の医師は口々に、癌検診受診の重要性を訴えたという。
大腸癌は日本の癌による死因の第3位。男性は第3位だが、女性は第1位である。男性は33人に1人、女性は44人に1人が死亡する。例えば、小学校の1クラスにつき1人以上は将来的に大腸癌で死亡するという計算になる。

また、乳癌早期発見と早期治療の大切さを訴える講演会として「奈良ピンクリボンアピール」が同日、奈良県大淀町で開かれ、奈良県教委保健体育課の担当者が県内の癌教育についての講演を行った。奈良県では来年度から、県内の全中学校において癌に関する教育を実施する予定となっており、癌は体の中で異常な細胞が増えてしまう病気であること、人から人へうつる病気ではないことなど、中学生向けに作成された癌の説明教材をとりあげ、市民への説明を行ったという。
乳癌は女性の癌による死亡の第5位(2013年統計)。初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことなどがリスク要因であり、これらの知識を中学生の頃から身に付けることは、将来を担う子どもたちへの指標となるであろう。

さらに、人工乳房メーカー「池山メディカルジャパン」(名古屋市)による乳房再建のミニセミナーや個別相談会「湯けむりまごころの宿一心館」が、2015年3月8日に栃木県の鬼怒川温泉にて予定されている。人工乳房を装着して実際に温泉に入浴する体験や、同社の担当者が乳癌経験者からの個別相談を受け付ける予定となっている。
乳癌により乳房を切除している女性にとって、人工乳房による美観の維持や温泉体験、あるいは同じ体験者同士の交流は、QOL向上に寄与すると推測される。

こういった取り組みが全国的に拡がり、今後ますます増加すると予測されている癌患者の、生活の維持につながると期待したい。
(Medister 2015年2月25日 葛西みゆき)

がんサポート 2015年 03 月号
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