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女性器切除による感度と痛みの改善

日本では一部の美容外科で対応しているのみだが、女性器のクリトリスに皮がかぶっている場合、感染症の予防と痛みの緩和、性感の向上を目的に、皮を外科的に切除する「女性器切除」をすることがある。

女性器切除(女子割礼)を受けた女性は、利用できるにも関わらず、再建手術をほとんど利用していない。そこで手術後の満足度に関し、ソルボンヌ大学(フランス)のArmelle Andro氏らは、この女性器切除手術の術前・術後直後・1年を対象に前向きコホート研究により評価し、医学誌「The Lancet」に掲載(Volume 380, Issue 9837, Pages 134 – 141, 14 July 2012)された。

1998年から2009年の間に、ポワシー•サンジェルマン病院の泌尿器科医を受診した18歳以上の女性器切除を受けた継続的に来院する患者に対し、調査を行った。全ての患者で、目的、期待、そして術前・術後1年のクリトリスの感度、痛み、を5段階で評価した。なお、Armelle Andro氏らは、陰核を覆う包皮を切除し、クリトリスを露出させる手術として「女性器切除」を定義している。アフリカ等の古い慣習としての女性器切除ではない。

Armelle Andro氏らは2938例の女性(平均年齢29.2歳)を手術した。マリ、セネガル、コートジボワールが主要な出身国で、フランスで手術を受けた患者も564例あった。1年間のフォローアップには866例(29%)の患者が協力した。手術前の期待感としては、アイデンティティの回復が2933例(99%)、性生活の改善が2378例(81%)、痛みの軽減が847例(29%)だった。1年後のフォローアップでは、363例(42%)が包皮の無い陰核亀頭であり、239例(28%)が通常のクリトリスであり、210例(24%)が目に見える突起をもち、51例(6%)が触ることができる突起をもち、3例(0.4%)は変化がなかったという。ほとんどの患者で痛みや感度について改善したと報告した。1年以内に、841例中430例(51%)がオルガズムを経験した。手術後の合併症(血腫、縫合不全、中等度の発熱)は、155例(5%)で診られ、108例(4%)が病院に一時的に再入院した。

Armelle Andro氏らは、「女性器切除後の再建手術が少ないのは、手術した患者が痛みの問題や感度に満足しているからだ。そして、手術は先進国の訓練された医師により行われる必要がある。」と述べている。(Medister 2012年7月18日)