子どもの卵アレルギー治療のための経口免疫療法
卵アレルギーは主要な食品アレルギーの一つで、我が国では乳児の10人に一人が何らかの食物アレルギーを持つと試算されており、厚生労働省の平成14年・17年度厚生労働科学研究報告書に於いては38%が鶏卵アレルギーだとする報告がある。卵アレルギーに対し、卵を食べないということが、これまでは唯一の治療法だった。
ノースカロライナ大学のA. Wesley Burks氏らは、卵アレルギーを持つ子どもの治療のために卵白粉末を用いた経口免疫療法を二重盲検無作為化プラセボ対照試験により評価し、医学誌「N Engl J Med」に報告(2012; 367:233-243)した。
5歳から11歳の卵アレルギーをもつ子供55例に対し、経口免疫療法群(40例)またはプラセボ群(15例)を組み入れた。卵白粉末投与を受け続け22ヶ月後、4~6週間の間、卵を食べない生活をした。24ヶ月目に、卵の経口食品を食し、治療の効果を検証した。24ヶ月以降は自由に卵を食す生活にし、30ヶ月、36ヶ月で再度評価した。10ヶ月の時点では、プラセボを経口投与された群では一人も脱感作が確認できず、経口免疫療法を受けた群では55%が脱感作したと考えられた。22ヶ月後には、経口免疫療法を受けた群で75%の子供が脱感作したと考えられ、24ヶ月時点で40例中11例が持続的な免疫不応答が確認されたと考えられた。30ヶ月、36ヶ月の時点では、試験を終了した全ての子供が免疫反応を気にせずに卵を食べることができた。
以上より、A. Wesley Burks氏らは、「経口免疫療法は、卵アレルギーを持つ子どもに対し高率で脱感作させ、卵アレルギーを持つ子どもに対し、持続的にアレルギー反応のでない状況を誘導できると考えられる。」と述べている。(Medister 2012年7月19日)