子宮頸がんワクチン 接種後の健康被害に対する新たな動き
2013年10月11日、厚生労働省の研究班は、子宮頸がんワクチン接種後の痛みを専門的に診察する医療機関として、新たに6か所を追加したと公表した。これまでにも9月26日付けで11医療機関を公表しており、これで17医療機関となった。
<9月26日付 11医療機関>
札幌医科大病院、福島県立医科大病院、東京大医学部付属病院、東京慈恵会医科大付属病院、順天堂大付属病院、愛知医科大病院、滋賀医科大付属病院、大阪大医学部付属病院岡山大病院、高知大医学部付属病院、九州大病院
<10月11日付 6医療機関>
信州大医学部付属病院、北海道大病院、名古屋大医学部付属病院、愛媛大医学部付属病院、山口大医学部付属病院、鹿児島大医学部付属病院
また共通の診療指針も併せて公表されており、正確な診断や治療を行うことで症状を緩和できる患者を見逃さず、ワクチンと副作用との因果関係の解明も目指す考えだ。
日本における子宮頸がんワクチンは、2009年に2価ワクチンであるサーバリックス(グラクソ・スミス・クライン)が、2010年に4価ワクチンであるガーダシル(メルク/万有製薬)がそれぞれ承認されている。厚生労働省は、2013年春から定期接種と定めたが、その一方で接種後の健康被害が相次いだことから、同年6月には積極的な推奨を指し留める通知を出している。その直後から研究班を立ち上げており、今回の公表に至った。
このサイトでも先日、カナダのケベック州において子宮頸がんワクチンの定期接種が学校で実際されることについて述べたが、その一方で米国ではおよそ4割以上の母親が、「娘には子宮頸がんワクチンを受けさせたくない」と答えている調査結果もある。
初性行為前に予防したい考えも分かるが、このワクチンを接種したからといって子宮頸がんを100%予防できるものでもない。そもそも子宮頸がんワクチンはまだ歴史が浅く、安全性や効果の持続期間に対しては未だ十分に解明されているとは言えない。今後も注意深く検証を進める必要があるといえるだろう。
(Medister 2013年10月15日 葛西みゆき)
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