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心不全の救急処置による予後死亡率の予測

東海大学の高度救命救急センターでは、平成20年1月~12月の1年間で、2,501人の重篤患者を受入れ、重症急性心不全144人、そのうち死亡19人というデータが公表されているが、救急医療において、心不全での死亡率をコントロールすることは課題の一つと言えよう。

日本だけに限らず、心不全により救急部門(ED)には数百万人が運び込まれるが、入退院の意思決定には予後リスクの定量化を伴っていないことが多い。そこでカナダ・トロント大学のJack V. Tu氏らは、EDにおける急性心不全の死亡率のモデルを検証し、医学誌「Ann Intern Med.」に報告(2012 Jun 5;156(11):767-75.)した。

Jack V. Tu氏らは、2004年から2007年の、カナダのオンタリオ州の86病院、12,591人のデータに関し、バイタルサイン、臨床所見、その他の簡易な検査のデータを素に、多変量解析によりEDで処置して7日間で死亡するリスク要因を抽出した。その結果、導出コホートの検証では、高い心拍数とクレアチニン濃度、低い収縮期血圧と血中酸素飽和度により死亡率が上昇した。また、異常な血清トロポニン量が死亡率と相関するデータなどが得られた。

以上のように、コホート研究により、EDにおける死亡要因が抽出されたことから、これら指標の確認と活用が、入退院の意思決定に活かせるだろうと考えられる。(Medisterニュース 2012年6月13日)