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急性高血糖時のフラバノール含有ダークチョコレートの保護効果

近年、「チョコレート」が健康に及ぼす影響に関する研究は増加傾向にあり、米国NCBIのデータベースでは2007年以降200件以上の論文発表がされている。特に血圧や心血管系のテーマが比較的多い。ダークチョコレートは、耐糖能異常の有り無しにおける健康な人、高血圧被験者のFMD値を増加させるが、ダークチョコレートの高血糖患者に対する内皮機能と他の血管応答における予防としての効果は不明であった。そこでラクイラ大学(伊)のFerri C氏らのグループは、健常者におけるFMD値と反射波に関して、また経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の前後での血圧、エンドセリン1と酸化ストレスに関して、のフラバノール含有ダークチョコレートの効果を検証し、医学誌「Hypertension」に報告(2012 Sep;60(3):827-32.)した。

12人の健康な被験者(平均28.2±2.7歳)を無作為に3日間、100 g / 日のフラバノール含有ダークチョコレート、もしくはフラバノールを含まないホワイトチョコレートのいずれかを投与した。7日間のウォッシュアウト期間を設け、その後他の治療に切り替えた。FMD値、剛性指数、反射率、peak-to-peak時間、血圧、エンドセリン1、8-iso-PGF(2α)の指標に関し、各治療後とOGTT後に評価した。ホワイトチョコレートに比べ、ダークチョコレートを摂取した群では、FMD値、反射率、エンドセリン1、8-iso-PGF(2α)の各値が改善した。ホワイトチョコレート摂取後、FMD値は1時間後に大きく低下し、2時間後に少し戻した。ダークチョコレートでなくホワイトチョコレートでは反射波、血圧、エンドセリン1、8-iso-PGF(2α)はOGTT後に増加した。OGTTでは、内皮機能および酸化ストレスの急性・一過性障害を引き起こすが、フラバノール含有ダークチョコレートでは減衰された。

以上よりFerri C氏らは、「ココアに含まれるフラバノールはアテローム性動脈硬化症の病態に関連した動脈機能の食後の障害を減らすことによって、血管の健康に寄与する可能性を示唆している。」と述べている。フラバノールはフラボノイドの一群であり、カテキンもこの一群に含まれる。高血圧に効果的な健康食品としての茶が市販されているが、これらの茶についても今後FMD値などの各種指標での評価が期待される。(Medister 2012年8月31日)
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