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患者様とのコミュニケーション

患者様とのコミュニケーション

患者様とのコミュニケーションに悩む医師が、多いと聞きます。それは、当然かも知れません。まず、医学部に入る以前から、受験戦争で、人生における社会経験が絶対的に不足してしまう。また、医学部の6年間では、同じような生育環境の人が集まり、同じ目的で勉強して過ごす。異質な人が、入り込む隙がないのです。どこかの医局に入っても、そこの教授や部長の指示のほうが大事で、患者様に接し方にまで気がまわらない、対人接触にしても型にはめられてしまう。そして、いざ、市中に出てみると、どう動いていいかわからない。あれだけ、ハードな経験をしてきたのだから、患者様に接するくらい何でもないんじゃない?向こうは素人なんだし。と思われるかもしれません。しかし、大学なり病院なりのバックなしに、一人の患者様に接するのは、けっこうきついです。こちらは、病気のエクスパートでも、一対一の人間として、向き合うとなると、人間としての器量が問われます。それが嫌で、わざわざ遠くの場所にクリニックを持ち、高速道路を1時間かけて通勤している医師もいます。患者様とプライベートで出会わなくていいし、通勤中にクリニックであった出来事を忘れられるからだそうで。信じられないかもしれませんが、本当の話です。

どうしてこのような事態が起こるのでしょうか?それは、ユング心理学で説明できます。ユング心理学の自己は、社会をも含むのです。今までは、大学・医局をバックに患者様と接して来られました。が、単身で市中に出てみると、バックになるものは何もない。自身の人柄だけで勝負しなければならない。いくらスキルに自信があったとしても、心もとないのはそのせいです。だから、バックとなるものを、見つければいいのです。それは、趣味であったり自然であったり同じ仲間とのネットワークだったりするのかもしれません。そういうのがあれは、患者様とのコミュニケーションに、自信をもてるのです。若干、こちらの説明が理解しづらい患者様や態度が横柄な患者様が、いたとしても、バックになるものがあれば、動じないものです。あるいは、コミュニケーションに関する、ホームページを見てみましょう。患者様も医師も双方、自分目線で言いたい事項を、伝えあい、うまくいかない部分があるのです。あたかも、パソコンが、ビジーになって動かなくなるように。患者様は、あうんの呼吸で動いてくれるベテラン看護師とは、違います。ここは、いったん、患者様の言うのに、耳を傾けてみましょう。

すると、先生が聞き出したい事項も、ポツリ、ポツリと言ってくれます。また、医学用語がわからなくて、言えない患者様がいます。患者様が落ち着かない感じになったら、一度話をやめ、ここがわからないんじゃないですか?と聞いてみるのもいいです。で、もう一度どこがわからないのか確かめ、わかりやすく説明すれば、患者様も落ち着いて、納得して話を聞いてくれるでしょう。

(三川恵子)

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