日本が創薬した新しい大腸癌治療薬 TAS-102が世界に先駆けて販売開始
大鵬薬品工業(本屋:東京)は2014年5月23日、同社が創製した新規抗悪性腫瘍剤「ロンサーフR配合錠」の販売開始を公表した。同日に薬価収載されたことを受けたもので、販売開始日は2014年5月26日となる。
ロンサーフ®は一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、開発コードからTAS-102とも呼ばる、経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤である。日本国内における第Ⅱ相臨床試験結果に基づき、2014年3月24日に世界に先駆けて製造販売承認を取得しており「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とした薬剤として注目されている。第Ⅱ相試験の結果については、2014年8月24日付け「Lancet Oncology」に掲載されているが、TAS-102をイリノテカン、オキサリプラチンおよびフッ化ピリミジン系薬を含む複数の標準化学療法に不応あるいは不耐を示した日本の切除不能進行再発大腸がん患者169例に投与したところ、プラセボ群と比較し、生存期間の延長(全生存期間中央値 TAS-102:プラセボ群=9M:6.6M)、死亡リスクの減少ならびに病勢制御率の改善がみられたという結果が報告されている。
また同様の患者への効果の検討として、国際共同第Ⅲ相臨床試験(RECOURSE)が行われており、2014年5月12日付けで「主要評価項目である全生存期間を有意に延長する結果が得られると同時に、その忍容性は概ね良好で、報告された副作用は過去の試験と同様であった」との速報結果も公表された。この結果を元に、今後は欧米においても申請を予定しているという。
この結果に関しては2014年6月25日から28日にバルセロナで開催予定の第16回世界消化器癌学会(ESMO 16th World Congress on Gastrointestinal Cancer)において口演予定となっている。
(Medister 2014年5月26日 葛西みゆき)