日本の“癌”の姿に迫る 癌罹患数の最新推計データ公開
2015年3月26日、国立がん研究センター(以下、国がん)は、2011年に全国で登録された「地域がん登録」データを元にした「日本のがん罹患(りかん)数・率の最新推計値」を公表した。全国40の都道府県で2011年に新たに癌と診断された数値を集計し、「全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)2011年罹患数・率報告」としてまとめられたもの。
今回、集計の元となったデータが提出された都道府県は、以下の通り。
北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、長野県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、沖縄県
報告書の中では、癌の部位ごとに、罹患患者の傾向がまとめられている。
胃癌:男女ともに日本海側での罹患が目立つ
大腸癌:北海道、東北、山陰地方での罹患が多く、死亡率も同地域で高め
肝臓癌:近畿以西の地域では肝臓癌による癌死よりも罹患の方が極めて多く、山梨県では罹患・癌死ともに多い傾向
肺癌:男性では北海道・青森県と近畿で、罹患・癌死ともに多く、女性は男性ほどの偏りはないものの、北海道および近畿より西の地域で罹患・癌死とも多い
癌全体(男性):男性の全部位では、北海道・東北地方・山陰・九州北部で罹患・癌死ともに多く、罹患と癌死との間に大きな差がみられたのは、長野県と広島県
国がんは今回の公表に際し、従来の罹患数・率だけでなく、初めて各都道府県における主要部位の罹患と癌死に対する分析を行ったことを踏まえ、「罹患比と死亡比との差異や、地域差を観察することで予防、早期発見、治療を含む都道府県がん対策に役立てられる」としている。
2012年以降はさらに比較される都道府県が増える(47都道府県になる見込み)ため、より一層、その姿が見えてくるのではないだろうか。
(Medister 2015年4月2日 葛西みゆき)
<参考資料>
国立がん研究センター 日本のがん罹患(りかん)数・率の最新推計値公開
同上 全国がん罹患モニタリング集計 (MCIJ)2011年罹患数・率報告