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日本病院薬剤師会が院内製剤の安全指針をまとめる

一般社団法人日本病院薬剤師会は、市販されていない薬などを病院の薬剤師が独自に作る「院内製剤」について安全指針をまとめ、発表した。
これは、今年2月に名古屋大学医学部附属病院で有効成分が少ない不妊治療薬を50人余りに投与していたことが明らかになった問題を受けてまとめられたもの。
日本病院薬剤師会では、安全指針に事前に病院の倫理委員会などで承認を受け、使う際には文書で患者に説明して同意を得ることなどを盛り込み、今後、院内製剤の適正な製造と安全な使用の徹底を図っていく方針。

これまで、患者の数が少ない病気では薬がなかったり、市販されていても薬の量や形などが患者に合わなかったりする場合があることから、病院の薬剤師が複数の薬や研究用の「試薬」などを使って独自の製剤を作ることが一般的に行われてきた。多様な個々の医療ニーズに応えるために不可欠な役割を担ってきたのが院内製剤だ。
また、院内製剤がきっかけとして製薬会社が製品化するケースもあり、院内製剤が高度化と複雑化が進む医療に貢献する効用は決して少なくない。

しかし、院内製剤は薬事法の規定がないため、作り方や使い方、品質の管理などは、それぞれの病院に任されているのが実情だった。
今回の指針は、こうした制度上の不備を整備し、院内製剤の安全性と信頼性を確保していくことが狙いだ。
指針では、治療や診断の際に人体への影響が大きいものについて事前に病院の倫理委員会で承認を受けることと文書で患者に説明して同意を得ることを求めるほか、使用期限や保管方法などを記した文書の作成を各病院に課し、1年に1回は有効性の評価を行うことも定めている。(Medister 岡崎 2012年8月1日)

日本薬剤師会プレスリリース