最も有効な乳癌検診項目とは何か 「がん検診のあり方に関する検討会」より
2014年9月18日、厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」(座長=大内憲明・東北大大学院医学系研究科長・医学部長)では、乳がん検診についての議論がスタートした。初日である18日は、検診項目に視触診を含めるべきかどうかが焦点となった。
現在の乳がん検診では、マンモグラフィー、視触診、超音波検査などを併用することが多いが、今年3月に国立がん研究センターがまとめた「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版」では、マンモグラフィー単独法と、マンモグラフィーと視触診の併用について、年代ことにその推奨する内容が変わる。
【65~74歳】マモグラフィー単独法を推奨(グレードB)、ただし、偽陽性、過剰診断、放射線誘発乳がん発症のリスクがある。
【40~64歳】マンモグラフィー単独法と、マンモグラフィーと視触診との併用を推奨(グレードB)、ただし、偽陽性、過剰診断、放射線誘発乳がん発症のリスクがあり、視触診が適正に行われるための精度管理ができない状況では実施すべきではない。
今回の検討会は斎藤博委員(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部長)は、上記ガイドラインからの概要説明を元に、マンモグラフィ単独法と、マンモグラフィと視触診の併用法は死亡率減少効果に相応な証拠があるとし、特に40―64歳に2つの方法を推奨するとした。
一方で、「マンモグラフィ単独法の方が(死亡率減少)効果が大きい」「(現場で)視触診を行っているが、精度管理が極めて難しい」との意見もあり、併用の必要はないとの認識も示されているため、結論は未だ出ていない。
「がん検診のあり方に関する検討会」は2012年5月から開催されている。乳がん検診に関する検討は、子宮頸がん検診、がん検診における精度管理、肺がん検診に続くものとなる。
折しも10月はピンクリボンフェスティバル月間。乳がん検診の項目に関しては、国民からの注目も集まりそうだ。
(Medister 2014年9月26日 葛西みゆき)