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柑橘類のフラボノイド「Heptamethoxyflavone」は脳虚血後の神経新生を促進する

秋の味覚を楽しむ季節になってきた。ネット通販の楽天市場でも食品の売れ行きランキングでは「みかん」が上位にランクしているが、日本人にとって「みかん」は秋から冬にかけての定番となっているフルーツだ。

松山大学薬学部の古川美子教授らのグループは、一過性全脳虚血モデルマウスを用いて柑橘類フラボノイド「Heptamethoxyflavone(HMF)」の神経細胞に対する効果を検証し、学術誌「Neurosci Lett.」に報告(2012 Sep 7. pii: S0304-3940(12)01173-1.)した。

古川美子教授らは、次の3つの点で柑橘類フラボノイドHMFがマウス神経細胞に効果が見られることを見出した。すなわち、
1) HMFは虚血後の海馬にてERK1/2とCREBのリン酸化を誘導した。
2) HMFは中枢神経系における主要な成長因子であるBDNFの海馬歯状回における発現を増やし、ほとんどのBDNF陽性細胞は抗グリア線維性酸性タンパク質(成熟したアストロサイトの主要な中間径フィラメント蛋白質)で染色された。
3) HMFは歯状回脳室下帯や下顆粒細胞層でdoublecortinタンパク質陽性の神経前駆細胞を増加させた。

以上より古川美子教授らは、「HMFはアストロサイトにBDNFの産生を誘導し、ERK1/2 とCREBを活性化することにより虚血後に神経新生を促進できることを明らかにした。」と述べている。脳虚血は進行すると脳梗塞を発症するが、約150万人の脳梗塞患者がおり、全医療費の1割が用いられていることからも、脳虚血からの神経新生の促進、そして脳梗塞の予防につながるのであれば、非常に有益であると言える。日々のみかんの摂取を心がけてみてはいかがだろうか。(Medister 2012年9月28日)

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