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水泳トレーニングは高齢者の血圧と血管機能を改善する

最も優秀な有酸素運動は水泳であるとも言われる。水中では浮力が働き、骨格や筋肉が弱い高齢者でも負担が少なく運動できる。全身性の運動でもあるので、全身の隅々まで血液がめぐり、特に静脈の血液の流れが改善すると言われ、血圧の改善が期待される。しかし、これまで血管機能における定期的な水泳の影響について検討されていなかった。そこで、テキサス大学運動健康教育学部の田中博文氏らは、定期的な水泳運動が動脈血圧(BP)を低下させ、血管の機能を改善するかどうかを検討し、医学誌「Am J Cardiol.」に報告(2012 Apr 1;109(7):1005-10.)した。

田中博文氏らは、平均年齢60歳±2歳の50歳以上の高血圧前症もしくはステージ1高血圧の薬物療法を受けていない43例の高齢者に、無作為で12週間の水泳運動もしくは穏やかな運動のみの群に分けて試験を実施した。介入期間前には両群の変数に有意差は認められず、介入後も体重、肥満度、ブドウ糖やコレステロールの血漿濃度は介入期間を通して有意差は認められなかった。しかし、収縮期血圧は水泳運動群で131 ± 3 から 122 ± 4 mm Hgに大きく低下し、24時間自由行動下血圧測定、中心血圧測定でも同様に観察された。また、水泳運動により頸動脈コンプライアンスは21%増加した。FMD値とCardiovagal baroreflex sensitivity (BRS)も水泳運動プログラム後に改善が見られた。これに対し、リラクゼーション運動群ではいずれの測定結果にも有意な変化は認められなかった。

以上より、田中博文氏らは、「水泳運動により、あまり運動をしない高齢者の降圧作用と血管機能の改善が期待できる。」と述べている。水泳は安価に取り入れることができ、簡単にアクセスできるので、健康的な食事と同様に、水泳運動も日常に組み入れていくとよいのではなかろうか。(Medister 2012年4月10日)
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