治療法の確立が急務とされる非小細胞癌 ニモツズマブ臨床試験が中止に
日本人の癌死の第1位は肺癌であり、2011年の統計データでは年間約7万人が肺癌で亡くなっている。世界的に見ても肺癌患者は増加傾向にあり、肺癌治療の確立は全世界的にも急務といえる。中でも非小細胞肺癌(NSCLC)は、肺癌全体の80%以上を占めるが、小細胞肺癌に比較して抗癌剤や放射線療法に対する感受性が低いことが知られている。1次治療として、IA期は手術療法単独、IB期・II期は手術療法と化学療法の併用、IIIA期は手術または放射線療法と化学療法の併用、IIIB期は放射線療法と化学療法の併用または化学療法単独、IV期は化学療法単独と考えるのが、現在の一般的な治療方針といえる。昨今の肺癌治療に対する抗癌剤の進歩は目覚ましく、新規の薬剤による臨床試験が数多く行われ、従来の形態学的診断のみならず、EGFR変異や逆位転座など遺伝子レベルで治療方針を決定する段階に来ている。
日本のみならず世界的に見ても多くの臨床試験などが行われているが、ここにきて中止が発表された臨床試験がある。第一三共が進めていた「ニモツズマブ(nimotuzumab)の肺癌を対象とした国内における第3相臨床試験」だ。この臨床試験はおよそ1年前の2013年4月25日に臨床試験の開始が公表されたが、ニモツズマブと同時化学放射線療法との併用療法における安全性の問題で勧告を受けたことにより、中止が決定した。
ニモツズマブは、キューバのCIMAB社で創製された、ヒトEGFRに対する組換えヒト化IgG1モノクローナル抗体である。海外では頭頸部癌・悪性脳腫瘍・食道癌の治療薬として承認されているが、未だ日本での承認は得られていない。
尚、同時に開始された胃癌を対象としたニモツズマブの第3相臨床試験は継続されている。
(Medister 2014年4月30日 葛西みゆき)
Nimotuzumab En El Tratamiento de Tumores de Es Fago de Origen