無歯科医地区の状況に劇的改善みられず
厚生労働省は平成16年度において、無歯科医師地区等調査を行った。この調査は、「全国の無歯科医師地区等の実態及び歯科医療確保状況の実態を調査し、へき地歯科保健医療体制の確立を図るための基礎資料を得ることを目的」としたものであり、「無歯科医地区及び無歯科医地区には該当しないが、無歯科医地区に準じた医療の確保が地区と各都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議できる地区(無歯科医地区に準じる地区)を有する市町村」を対象とした。各市町村に調査票の作成を依頼し、厚生労働省が集計を行ったものである。
その後の年度も引き続き無歯科医師地区等調査は行われており、現在は平成21年度までの調査の集計結果が公表されている。平成21年10月末時点での集計結果によると、無歯科医地区数は930地区、無歯科医地区人口は236,527人となっている。平成16年度の調査では、無歯科医地区数は1,046地区、無歯科医地区人口は295,480人であったため、無歯科医地区数・無歯科医地区人口ともに、平成21年度の調査では減少しているのが分かる。しかしながら、その減少のスピードに関してみると、前回の調査からすでに5年程度も経過しているのに対し、劇的な変化があったとは言い難いレベルに留まっている、というのが率直な印象である。即今後のへき地保健医療体制の急な改善のためにも、ただのオブザーバーとしてこの調査を続けるのではなく、へき地をもつ市町村などに対して積極的に歯科医療体制を充実させるための事業を行うように、国側に対して強く要請していかなければならない時期にさしかかったといえる。(中立元樹)
リンク
1. 厚生労働省HP