無症候性の新生児の先天性心欠損をパルスオキシメーター測定でスクリーニングする
新生児の心疾患スクリーニングは早期発見に役立ち、治療により回避できることも多くある。一般には超音波エコー検査が中心であるが、施設や環境によってはパルスオキシメーターが一助となるかもしれない。バーミンガム大学(英)のAndrew K Ewer氏らは新生児の心疾患スクリーニングを目的とし、パルスオキシメーター測定によるスクリーニングに関し、系統的レビューとメタ解析を実施し、医学誌「The Lancet」に報告(Volume 379, Issue 9835, Pages 2459 – 2464, 30 June 2012)した。
Andrew K Ewer氏らは、MEDLINE(1951年~2011年)、EMBASE(1974年~2011年)、コクラン•ライブラリー(2011)、およびSCISEARCH(1974~2011)から、言語に関係なく、新生児のパルスオキシメーター測定に関する対象論文を抽出し、個々の研究における感度、特異性、95%CIを計算した。
552件の研究を解析したところ、229,421人の新生児に関する13例の趣旨に一致する研究を見出した。新生児の心疾患を検出するためのパルスオキシメーター測定の感度は76.5% (95% CI 67.7—83.5)であった。特異性は99.9% (99.7—99.9)であり、偽陽性率は0.14% (0.06—0.33)であった。重大な新生児心欠損を検出するための疑陽性率は、出生後24時間より後にパルスオキシメトラー測定する方が、24時間以内に測定するよりも特に低い結果となった。
以上の結果よりAndrew K Ewer氏らは、「パルスオキシメーターによる測定は新生児の重大な心疾患を検出するために特異性があり、普遍的なスクリーニングのための基準を満たす適度な感度があると考えられる。」と述べている。
系統的レビューという手法は、過去の論文の症例を統合して統計解析する手法だ。Andrew K Ewer氏らは、Lancet誌2011年8月5日号にも独自の20,055例の対象者に対する研究で報告していたが、本報告では、過去の膨大なデータを統合した報告であり、パルスオキシメーターによる新生児の心疾患スクリーニングを標準化する上で重要な報告といえる。(Medister 2012年7月2日)