現行のがん対策の改訂に向けて 患者調査の実施と若年がん患者QOL向上
2014年12月21日、厚生労働省にて第46回がん対策推進協議会が開催された。現行の基本計画(第2期、2012年度から2016年度)では、全体目標として
●がんによる死亡者の減少
●すべてのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上
●がんになっても安心して暮らせる社会の構築
の、3つが掲げられている。
公開された資料によると、来月以降、全国のがんセンターを中心とした、がん診療拠点病院で治療を受ける(受けた)患者、若年癌患者(19歳~40歳未満)、希少癌患者、その他の癌患者の他、癌ではない患者へのアンケート調査も行うとしている。
調査内容としては、癌と診断されてからの体験(告知や治療内容など)、医療者間の連携状況、治療と仕事との両立など、癌患者のこれまでの体験についての質問事項が挙げられている。また、がん相談支援センターのあり方や、患者自身と家族との関係性、現在の治療などへの満足度なども項目に織り込まれている。
さらに今回は「若年がん患者のQOL向上を志向した、がん・生殖医療の実践」という議題にも触れられた。現状の問題点として、正しい情報が伝えられていない、的確なタイミングで伝えられていない、医療連携不足、以上3点が挙げられている。特に将来の妊孕性については、癌治療を担当する医師と産婦人科医がそれぞれの専門分野を生かした連携ができていない点、患者への情報提供が不足している点などが問題視されている。抗癌剤による影響や具体的症例も提示され、結果的に「失われなくても済んだ生殖機能が失われてしまった」という課題が挙げられ、その解決策として、小児科医の医療連携や、小児科医と産婦人科医の医療連携が必要であることが提示された。
日本のがん対策基本計画は、2016年の改訂が予定されている。これまであまり焦点の当てられなかった患者からの評価、若年がん患者のQOL向上は、どこまで盛り込まれるだろうか。今後の動向に注目していきたい。
(Medister 2014年12月16日 葛西みゆき)
がん治療認定医・がん薬物療法専門医試験対策 再現/予想問題(第7版)