病院に不満を感じたら患者はどうするか?
厚生労働省は平成8年より「受療行動調査」を実施してきた。この調査は全国の一般病院の中から無作為抽出で500病院を選び、そこを利用している患者を調査の客体としたものであり、病院内での診察の際の待ち時間や医師による診察内容などについて、患者が満足しているかどうかを調査してきた。
現時点では平成20年度までの受療行動調査の結果がHP上で公表されているが、平成20年度からは新しい調査項目として、「不満を感じたときの行動」という項目が調査結果の中に盛り込まれている。この調査項目の具体的な内容は、大まかに分けると「これまで5年間でかかったことのある医療機関で不満を感じたら、誰かに相談したことがあるか?」と、「相談した結果不満の解消に役立ったかどうか?」というものである。結果を集計すると、「不満を感じたことはなかった」と回答した患者は全体の11.9%程度に留まっていたことから、病院に対して何かしらの不満を抱いている患者の割合が非常に高いことが分かる。そして、不満を感じている患者のうち、「相談した」と回答した患者は52.9%であったが、「相談したことがなかった」と回答した患者の割合が23.3%とかなり高い頻度を占めていたことも事実である。「相談した」と答えた患者については相談相手の内訳をみると、主治医が71.1%と最も多く、次いで家族・友人・知人が62.3%となっているが、実際に相談してみて「役に立った」と患者から評価されているのは、主治医が74.6%と最も多く、家族・友人・知人も60.9%と高い割合を示している。
以上の調査結果より、患者の不満解消に対する医師の寄与は非常に大きいと言えることが分かる。不満を積極的に医師に相談する姿勢が今後の患者たちには必要不可欠であろう。さらに患者の満足度を高められるような医療を進めていくために、今後は患者からの相談に誠意をもって応じるような医師たちの意識向上も求められるであろう。(中立元樹)
リンク
1. 厚生労働省HP
2. 平成20年度の受療行動調査項目「不満を感じたときの行動」に関する集計結果